お気楽ボランティア日記

楽しみながら、ボランティア   広がる、人の輪

本棚の古書「枕草子評釈」金子元臣著

2010年11月02日 | 映画・演劇・本
「中島敦全集」に続いて、今回は「枕草子評釈」・・・「釈」の文字は古い方の漢字ですが、パソコンで出てこないので・・・

 発行年月日は初版は大正10年6月。私のは昭和2年10月で16版。明治書院。
上下2巻。 定価一冊4円。 (この時代の4円って、今の貨幣価値に直すとどのくらいかな?)
手に取ると、ずしりと重みを感じます。

 この本を今回、本当に何十年ぶりかに開いてみて驚いたことが二つありました。

<その一>
 たくさんの赤ペン、青ペンが入れてあったこと。・・・ところが、これが自分で書き込んだものなのか、購入したときすでに前の持ち主が書いていたものなのかが不明です。

 自分の文字であるようなないような・・・・微妙です。

<その二>
写真は下巻最後に書かれた「おくがき」の部分です。ここに、驚くべき記述がありました!
難しい漢字は直して、写します。

『昨年九月一日の大震火災の際には、ちょうど229段の評語が面白くないので訂正中であった。家が船のように動く。障子ガラスがバリバリこわれる。地震は大きいと直覚したが、ままよと腰を据えて、再び筆をとった。
とかく机が跳ねるので、骨折って書いた為、下手な字画が却ってほかのよりも明確であったのも可笑しい。・・・・・』

金子さんって、大物ですねえ。あの関東大震災に遭遇しながら、本の執筆をやめることなく書き続けたんですから・・・それも、揺れる中で書いたので、かえって字がきちんと書けたと面白がっているんですもの。逃げようとなんて、はなから考えてないんですね!
まあ、それだけこの本に打ち込んでいたのだと思いますが。
(なお、229段は薄情な婿殿の話しです。)

この方は、他に源氏物語、古今和歌集などの評釈もされています。定価は1円50銭とありますから、この本より更に前に書かれたようです。(今、どこで眠っているのかしら?) 
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