暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

雪の夕去りの茶事 (1)  

2011年02月23日 | 茶事
2月19日に雪の夕去りの茶事をしました。

15日に降った大雪(関東地方では)がやっと融けたと思ったら
茶事前日は雨のち晴れのち突風と大荒れで、天気が心配でした。
その日は風もなく穏やかな天候で先ずはほっとしました。
茶友四名さまを我が家へお招きしました。

待合の床には、古今集より二条の后の和歌を掛けました。

   雪のうちに春はきにけり鶯の
        凍れるなみだ 今やとくらむ

甘酒で身体を温めてもらい、腰掛待合へご案内しました。
腰掛待合は外なのでとても寒いのです。
藁灰が入った大火鉢を置き、真っ赤な炭をたくさん入れて暖をとって頂きました。
四時の席入です。
床には、白椿と木五倍子(きぶし)を揖保川焼の花入にいれました。

初炭のあと、懐石まで時間にゆとりがありましたので、
お香を楽しんで頂きました。
半東がおりませんで、香の用意に少し時間を頂戴しましたが
席中ではいろいろお話が弾んで かえって良かったようです。
香はアブダビから到来のNo.1(伽羅)で、香銘は待合の和歌より「春の雪」です。

                 
                 
                
懐石をお出ししました。
前回、鶯の茶事でお手伝いいただいたIさんと準備しました。
Iさんは茶事はもちろん茶道も習っていないのですが、
次々とアイディアが飛び出す、頼もしくステキな助っ人です。

「熱いものを熱いうちに美味しく召し上がって頂きたい」
のスローガン(?)を伝えると、Iさんがいろいろ工夫してくれました。
その一つを披露すると、
「ギャ-ッ! 何しているの?」
「器(四つ椀)を温めているの」

バスタオルをファンヒーターの吹き出し前の床に敷いて
その上に椀が並べられていました。
暖かい空気で椀がほどよく温められています
私の指示はお湯で温めて・・・でしたが
「それではすぐに冷めてしまってダメなので・・・」
「なるほど!」
すぐに納得し、アツアツの一文字と汁をお出しすることができました。

向付が蒸し物でしたので、一献のあとにアツアツをお出ししました。
二人で奮闘した懐石の献立を紹介します。

   向付     大根蒸し (鯛 やまぶしだけ ユリ根 山葵)  柿なます  
   汁      合せ味噌  蓬麩 黒豆 辛子
   煮物椀    ホタテと銀杏の真蒸 菜の花 人参 てまり麩 柚子
   焼物     銀ムツ西京みそ漬
   炊き合わせ  海老芋  蛸  針生姜
   箸洗い    のし梅    
   八寸     合鴨のスモーク  タラの芽の天麩羅
   香の物    千枚漬  赤カブ  たくわん
   酒      越の寒梅 (前田酒店にて購入)  
   ワイン    スパークリングロゼ


        雪の夕去りの茶事(2)へつづく