暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

クリスマス 立礼の茶事 (2)

2009年12月26日 | 茶事
後座は部屋を暗くし、一面の蝋燭の灯りでお迎えしました。

雪の残るヒイラギとポインセチアを氷柱に生けました。
氷柱は江戸千家の友人からいただいた花入で、
盛夏だけでなく、私は12月にもよく使います。

シーンと座が静かになり、聴こえるのは松風のみ。
濃茶はクリスマスのミサと思っていましたので
イエスキリストの御名を唱えながら四方捌きをしました。

柄杓から流れ落ちる湯、茶筅通しの三度打ち、
音だけの世界となりました。
茶筅の音がリズミカルに響く中で
心を込めて濃茶を練りました。
最後の「のの字」に十字を切る思いが重なりました。

「とても美味しゅうございます」
いつもこのお言葉で嬉しく安堵します。
濃茶は涼翆の雫、翆晶庵の詰です。
茶碗は林紅陽作の紅萩、足立泰堂和尚の銘「関」です。

茶入は十五代沈壽官作の薩摩焼の胴締めです。
使い勝手がよく今一番のお気に入りの茶入で、
仕覆は大黒屋金襴です。
茶杓は福本積応和尚作の「閑座」です。

しずかに和やかに時が過ぎて行きました。
濃茶(ミサ)が終わったところで蝋燭を引きました。


         


後炭も終わり、薄茶になりました。
十字架のある瀬戸黒とトナカイの茶碗で薄茶をお点てし、
にぎやかにお話しながら味わって頂きました。
干菓子はヒイラギとダビデの星で、主菓子と共に翆晶庵製です。

薄器は利慶作の遠山蒔絵の中棗、
茶杓銘は「星のひかり」です。

「あの蓋置は何かしら?教会のようにも見えるし・・・」
と席中で話題に上っていた蓋置を拝見にお出ししました。
長崎三彩の天主堂です。

だちくゎんさまからご恵贈いただいたもので、
長崎の天主堂をイメージして作られた
淡交会・九州地区大会に因む記念のお品でした。
赤鼻のトナカイさんみたいに喜び勇んで
使わせて頂きました。

    

最後の挨拶になり、
「あっという間に時が過ぎてしまいました。
 いつまでも続いて欲しい思いです・・・」
と、今日の一期一会のご縁を噛みしめました。

感服上手のお客さまが盛り上げてくださって、
とても楽しい一会でした。 ありがとうございます!

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