暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

仮名手本忠臣蔵

2009年12月14日 | 歌舞伎・能など
今日は赤穂浪士討ち入りの日です。

11月の吉例顔見世大歌舞伎は昼も夜の部も
「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」でした。

九州旅行がキャンセルになったので、急遽夜の部へ
主人と行くことになりました。

夜の部
五段目  山崎街道鉄砲渡しの場
       同  二つ玉の場
六段目  与市兵衛内勘平腹切の場
七段目  祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
       同    奥泉水の場
       同    炭部屋本懐の場
      引揚げの場

見終わってからいつものようにどの場面に感銘したか、
印象に残ったか・・を話し合いました。
主人は即座に
「五段目で、黒の着流しの斧定九郎が濡れた袖を絞り、
 濡れた髪を整える所作がぞっとするような悪党の美があって
 たまらなく良かった!かっこいい!」

私も全く同感です。
斧定九郎を演じたのは中村梅玉でした。

ストーリィの面白さとともに歌舞伎ならではのお楽しみがあります。
歌舞伎ではよく舞台で着替える場面があるのですが、
粋で絵になっていて、どきどきしながら期待して見ます。

六段目、尾上菊五郎演じる勘平が浅黄の紋服(武士の正装)に
着替えて、祇園の茶屋の女将と会う場面です。
黒子が手伝いますが、するすると見事な脱ぎ着で、
特に帯を巻いて締めるシーンにはうっとりしました。
着替えることで猟師の勘平から赤穂浪士の勘平に
心情を切り替えているのかもしれません。

その後、舅を鉄砲で撃ったと思い込んでいる勘平は切腹します。
浅黄の紋服には勘平の覚悟のほどが現れていて、血潮の赤が映り、
死に行く勘平をより壮絶に哀れに見せています。

もう一つの楽しみは歌舞伎の雪。
本物の雪より雪らしく、美しく降り積もります。

十一段目、奥泉水の場では雪の中、立ち回りが演じられます。
この場面がないと忠臣蔵は物足りない・・と思うほどです。
主役ではないかと思うほど美しい雪ですが、
丸でも四角でもなく三角形に切ってあるので
ヒラヒラと舞うようにゆっくり落ちてくるそうです。

実話のように引揚げの場で、高師直(吉良上野介)の首は
桂籠が代役を務めているのでしょうか? 
これについては未だ不明です。