暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶事入門教室(第2回)を終えて (2)

2009年12月04日 | 茶事教室
     (つづき)

後座の床にはふっくらした蕾の白椿(加茂本阿弥)と
照り葉(ニシキギ)が生けられています(写真)。

室が水を打ったように静かになり、ご亭主のS先生が練る
濃茶の香りが清々しく満ちてきました。
「とても美味しゅうございます」
お正客の声音が美味しさを語っていました。
重ね茶碗でもう一服、中正客のMさんの所作も堂々としています。

お詰のOさんが茶碗と古袱紗を拝見へ持って出る時、
裏千家流とちがうことに気づきました。
「どうぞ、ご流儀の仕方で・・・」
裏千家流では茶碗を左手に持ち、
右手で古袱紗を持って茶碗に添えて運びますが、
大日本茶道学会では古袱紗を縦に折って左手に乗せ、
その上に茶碗をのせて運びます。
いろいろあって興味深いですね。

茶入は瀬戸肩衝、茶杓は・・・。
「茶杓のごま竹の景色、貝先のお形が見事で、
 御銘を伺うのを先ほどから楽しみにしておりました」とお正客。
「福本積応師作の瑞雲でございます」
「今日の炉開きにふさわしい御銘の茶杓を拝見できて
 幸せでございます」

後炭になり、再び炉中拝見です。
この瞬間が楽しみで、見て頂きたいポイントの一つです。
炭の流れ具合が趣き深く、時の移ろいを映し出します。
ご亭主が胴炭を見事二つに割りました。
後炭では太い胴炭をそのまま生かすことが多いので
実はめったに見れないことです。

さじ香で香が焚かれ、湿し灰がたっぷり撒かれました。
輪胴が入り、初炭とは違う炭の取り方、置き方を拝見しました。
点炭で元の座に戻り、釜が清められる湯気と
濡れ釜の一瞬を鑑賞しました。
後炭は見所満載でしたね。

文透かしの煙草盆に緑釉の火入れが映えていました。
干菓子は吹き寄せ、竹の箕に盛られています。
薄茶の主茶碗は萩の俵、替茶碗は京焼きで六瓢の絵、
薄器は菊蒔絵の中棗です。
お正客から蓋置(赤楽)の拝見所望がかかりました。
そして・・・

「聞き忘れておりましたが、建水は?」
「備前でございます」と、ご亭主はにっこりです。
「塩げのようなお形の、趣ある建水ですね。
 これで最後の伊部(いんべ)がでて、やっと三べが揃いましたね」
と、お正客もホッとして嬉しそうでした。 

こうして二回目の茶事教室が一座建立のうち終了しました。
最後の挨拶の時に
「こうして此処に居ることがとても幸せでした・・・」
三客のYさんのお言葉がじぃーんと胸に響きました。

次回は3月の雛祭りの頃でしょうか? 
私も楽しみにしています。