暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

クリスマス 立礼の茶事 (1)

2009年12月25日 | 茶事
Merry Christmas!

23日にクリスマス 立礼の茶事をしました。

クリスチャンではないのですが、
カソリック系幼稚園でのキリスト誕生劇のこと(確か天使だった・・)、
青年期に通った教会のミサなど、大昔の思い出を辿りながら
クリスマス茶事の準備を楽しみました。

五名のお客さまをお迎えしました。

寄り付きに布絵作家 森下隆子さんの手になる
「Silent Night」の色紙を掛けました。
蝋燭の灯りに楽譜が浮かび出ています。

詰のNさまが打つ板木の音が聞こえてきました。
最初に早打ちがあり、それから人数分が打たれました。
この打ち方をお聞きしたのは三回目でしょうか・・。
心地好く響く音でした。

一閑人の汲み出しに「エッグノック」をお出ししました。
「エッグノック」は西洋風卵酒で、
アメリカではクリスマスシーズンによく飲むそうです。
少量のブランデーが入っていて、パブリカを振ってあります。

         

今年最後の茶事でもあり、ゆっくりと挨拶を交わしました。
お正客さまは寄り付きの色紙を見て
「清しこの夜・・・」を思わず唄いたくなったそうです。
皆さま、私以上に今日の茶事を楽しみにしていたご様子で
TさまとNさまのお二人はクリスマス柄の帯を
締めてきてくださり、お客さまの気合にたじたじでした(汗)。

床は橋本紹尚和尚の筆で「紅爐一點雪」です。

クリスマスなので懐石は洋風で、
翆晶庵・横山和子さんが腕まくりです。

オルゴールのクリスマス曲が穏やかに流れる中
一献を差し上げました。お酒は白ワインです。  

煮物碗は白と赤のクリスマスツリーのしんじょう、
焼物はローストビーフ、
炊き合せは、粉吹じゃがいも、ブロッコリー、人参のグラッセ、
和え物はグリーンサラダ、
八寸は銀杏とサーモンのマリネです。

どれも美しく美味しく、お出しするたびに嘆声が上りました。

懐石が終り、初炭となりました。
炭斗を出すと、早速にお正客から声がかかりました。
炭斗は飼葉桶に見立てたワインクーラーです。
釜を下ろすと炭が十分に残っていて安堵しました。

香合は見立てで錫製の小物入れ。
イギリス貴族の一家が木の下でくつろいでいる風景が
蓋に浮き彫りされています。
銀メッキで化粧直しされていますが、1850年代にイギリスで
使われていた古いもので、開港150周年を祝う茶事の香合
一緒に購入したものです。

縁高で主菓子をお出ししました。
菓子銘は「ログケーキ」です。
一見、洋風の丸太のロールケーキのようですが、
中身は和風の練りきりです。
    (つづく)               
                           

  写真は「飼い葉桶に見立てた炭斗」と「エッグノック」です。