麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第255回)

2010-12-26 17:32:54 | Weblog
12月26日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

そういうわけで「現象学の根本問題」を買いました。
今完全に仕事脳になっている私にはさっぱりわかりませんが、いいですね。
音楽で言えば、コードもメロディも聞き取るだけの余裕がないけど、ベースとタイコの刻み方だけは伝わってくるという感じでしょうか。ハイデッガー、いい感じ。



「悪霊」新訳、読んでいます。いいですね。いまのところ小沼訳と比べてどうこういうところまで読み進んではいませんが、新潮文庫よりいいことは明らかです。江川卓さんの訳にしては、本当に新潮文庫の「悪霊」はおもしろさがわかりにくい。

しかしこのままいくとあっという間に1巻を読了してしまいそうです(なにしろ4回目くらいですから)。まだ2巻が出ていないのが気になる。新訳文庫さん、2巻お願いします。



今年は何を勘違いしたのか「ニーチェの言葉」が売れたりしておかしなことでした。
「現象学の根本問題」を買ったのを機に、ハイデッガーの「有と時」やその他の本を出してきてパラパラめくっていたら、「形而上学入門」の中にこんな言葉を見つけました。

哲学は本質的に反時代的である。なぜなら、哲学は、いつも、自分自身の時代のうちに直接の反響をけっして見いだしえない、また、けっして見いだしてはならない、という運命をもつ、かの稀なことがらに属するからである。直接の反響が起きているように見えるとき、哲学が流行になるときには、本当の哲学は存在しないか、あるいは、哲学は誤解されて、なにか哲学とは異質の意図にしたがって、日常の要求のために悪用されているのである。(ハイデッガー全集第40巻/岩田靖夫訳)

濁った現在の頭ではこの言葉の本当の深さを直接感じ取ることはできませんが、基本ベース音は痛いほど伝わります。ハイデッガー、いいですね。



脳が寝てるみたいな……。



では、また来週。
コメント
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