鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

根強い人気の景気討論会

2006-05-30 | Weblog
 昨29日は東京・大手町の日本経済新聞社8階の日経ホールで行われた景気討論会を聞きに行った。インターネットで応募したら、抽選に当たったので軽い気持ちで参加した。実は日経ホールでの景気討論会なるものに参加するのは初めてのことなのだが、行って驚いたのは提供される資料がなにもないことだった。パネリストの吉川洋東大大学院教授の発言に興味があったのと、この3月に日本経済新聞社の編集局長に就任した高橋雄一氏の力量がどんなものか、見たくて参加したので、何か資料でもあれば多少の手がかりになうかな、と思っていたのが、あてが外れた。英語のペーパーブックに書店のカバーがついていたので、それを外して、メモ代わりに使うことで対処した。
 聴衆は600人ほぼ満員で、やはり50-60代が多い。なかには企業の調査部らしい若いグループや、若い女性の熱心にメモを取る姿もみられたが、大半は引退したお金のある投資家といった感じの人で、いまどき景気の動向に関心を持つのは余裕資金をたっぷり持っているシルバー世代なのだろう。
 で、日本の景気についてはいずれのパネリストも基調は年2-3%の持続的成長は維持できるとの見方で一致した。パネリストの小島明・日本経済研究センター会長が紹介していたが、先日2年半ぶりに来日したマレーシアのマハティール首相が「日本の盛り場に人が増え、日本の社会に気が戻ってきた」と驚いていた、という。で、小島氏は「デフレの罠から日本経済は脱却しつつある」と言い切った。 吉川教授も「もともとデフレは借金がなければ問題ない。借金がある限り、デフレは毒薬である。デフレで一番困るのは政府である」という。
 今年夏ころにはゼロ金利が解除され、景気が拡大していけば、今後四半期ごとに0.25%ずつの金利上昇が考えられるが、これも基本シナリオを崩すようなことにはならない、という。
 今後の不安要因として、米国・中国など海外経済の動向、原油価格の高騰、為替レートの変動が考えられるが、急激な変化とならない限り、日本経済はソフトランデングでき、持続的な成長を維持できる、との結論となった。
 最大の不安は日本政府の財政状況で、6月末にも歳出歳入一体改革の基本方針が打ち出され、財政再建のシナリオが発表されるが、いまの日本の国債発行残高の対GNP比は150%で、EUが基準と考えている60%をはるかに上回っている。小泉首相5年の最大の汚点である。2011年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)をゼロにし、2011年から150%の比率を下げていくシナリオを早急に描かなくてはならない、と吉川教授は解説してくれた。
 司会の高橋編集局長は議論が行ったり来たり、という点はあったが、まずは無難にこなしたというところか。それにしても経済の基本的な知識が頭に入っているのかな、という不安は若干感じた。まあ、諸先輩がいっぱい控えての編集局長なので、なんとか務まることだろう。
 それにしても景気討論会は生でパネリストの意見を聞ける、というのはやはり魅力である。今朝の日経の紙面を見ると、いまの景気動向に関した発言は掲載されているが、経済教室的な基礎的な話はカットされてしまっている。経済の素人にとってはそうした基本的な話の方が有難い。直接、会場へ行くメリットはここにありそうだ。これからも時間の許す限り参加したいものだ、と思った。
 
  
 
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