鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

桁もヴィジョンも違う米ファンド

2006-06-27 | Weblog
 米投資会社バークシャー・ハザウエイを率いるウオーレン・バフェット氏は25日、保有する同社株370億ドル(4兆3000億円)相当をマイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏の財団などに譲渡する、と発表した。慈善事業としての個人の寄付額としては過去最大規模になる、という。ウオーレン・バフェット氏は世界第二位の資産家で、株式はじめ商品への投資活動をめぐってはいろいろ話題になり、その投資パターンはバフェット理論としてもてはやされたこともある人である。バフェット氏の投資の一挙手一投足は注目を集め、相場の神様と崇め奉られることもあった。投資の規模といい、この最終着地のパフォーマンスといい、あの村上ファンドとは天と地ほどの差があることを痛切に感じた。村上世彰は昨日、5億円の小切手を払って保釈となったが、バフェット氏の爪のアカでも煎じて飲むことをまずすべきだろう。
 バフェット氏の資産のほとんどがバークシャー株で、今回の寄付は保有株全体の85%にあたる、という。うち300億ドルをゲイツ氏の財団に、残り70億ドルをバフェット氏の家族らが運営する4つの財団に譲渡する。バークシャーは繊維会社だったのをバフェット氏が経営権を握り、保険やレストランなどを傘下に持つ米国屈指の投資会社となった。コカコーラやアメリカン・エキスプレスの大株主としても知られる。バフェット氏はこれで引退するものとみられている。
 これまでのバフェット氏の派手で大掛かりな投資活動には成果はさることながら、いろいろな波紋なり、ある時は犠牲すら生んできたかもしれない。しかし、すべて終わってみれば370億ドルもの莫大な資産を残し、しかもそのほとんどを慈善事業に寄付してしまう、という終幕を果たしてだれが予想したであろうか。個人にしてみれば、大変な決断である。米国の場合、寄付というものが社会人にとって当たり前の行動となっている側面はあるにしろ、およそ日本では考えられないことである。
一方、寄付を受けるのが世界一の富豪、ビル・ゲイツ氏率いる財団というのがややひっかかるが、ゲイツ氏も2008年には引退を表明したばかりで、夫人と主に教育に関する慈善事業に専念する計画だ。バフェット氏とゲイツ氏が組めば、世界に敵なしだ、と思えるのにあっさりと引退して慈善事業に力を入れる、というのも米国らしく面白い。
 福井日銀総裁の辞任騒動から、陰の指南役として宮内義彦氏がうんぬんされている村上ファンドもバフェット氏ようなヴィジョンがあれば、また違った展開をしていたことだろう。4000億円の資金規模となったものの所詮は金儲け主義であれば、いずれ世の中で相手にされなくなる。まずお金だけではない、という考えがなかった。少しでも産業界、世のためにお金を投じ、かつそうしたヴィジョンを掲げていれば、今のような事態を招くことはなかったのだろう。
 日本の企業も産業もまだまだ米国には及ばないところがいっぱいある。会社は株主のもの、とは確かに米国からの受け入れによるものだが、企業、起業の目的もいま一度、米国に習って見つめ直したらいいだろう。村上さん。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日中友好コンサート | トップ | 傲慢なジーコ監督 »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事