鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

「暴力団関係者立ち入りお断り」を単なるポーズで終わらせるな

2010-07-14 | Weblog
 この11日幕開けした大相撲名古屋場所は異例づくめの場所となっている。初日からいつもなら「満員御礼」の垂れ幕が出るはずなのに観客は6分の入りで、土俵の上で仕切る協会関係者の着物には企業のマークが消え、懸賞金も3日目の14日でわずか10本とすべて野球賭博問題を反省しての自粛ムード一色である。そんななかで、あれっと思ったのは初日の「暴力団関係者の観戦を固くお断りします」との立て看板と館内放送、それに愛知県警のよる監視だった。
 もともと野球賭博問題の発端となったのは昨年の名古屋場所で土俵際の桟敷席に暴力団関係者が紛れ込んでいて、それがさる親方が横流ししたチケットによることが判明し、暴力団との関係が取り沙汰されるようになったことにある。それだけに所縁の名古屋場所で、きちんと「暴力団関係者お断り」を掲げなければならない気持ちはわかるが、果たしてこんなことで本当に暴力団関係者の出入りを防げるものなのだろうか。
 こんな時期にわざわざ名古屋場所の観戦にのこのこ現れるような暴力団関係者がいるものなのだろうか。愛知県警はいつもなら数人の警官を派遣して警備にあたるところを今回は20人もの警官を要所要所に配置して、暴力団関係者の立ち入りをチェックした、と報道され、テレビには警備にあたるその警官の姿が映っていた。で、サングラス姿で入館しようとした人がいて、色めき立ったが、暴力団関係者でないことがわかって事無きを得た、という。
 考えるに、一目で暴力団関係者というものがわかるものなのだろうか。パンチパーマにサングラスに派手なアロハシャツでも着ていれば、即座に暴力団関係者ではないか、と疑われることだろうが、こんな時期にいかにもそれらしい格好で現れるわけがない。暴力団関係者が本当に大相撲が好きで観たいと思うなら、一般の人となんら変わらない姿で紛れ込むことだろう。それに暴力団関係者と一口に言うが、暴力団の組と杯を交わした組員ならともかく、関係者とはどこまでを言うのかはっきりしない。
 となると、今回の「暴力団関係者立ち入り禁止」は日本相撲協会、および愛知県警共同のジェスチャーに過ぎないだろう。日本相撲協会はこれによって反省していることをアピールしたいだろうし、警察は今回の野球賭博問題の背後に蠢く暴力団に対して、追及の手を緩めてはいないということをポーズで見せたいのだろう。
 本当のワルは相撲協会でなく、背後で操っている暴力団であるのは周知の事実であり、それを広く世の中に印象付けたい、との思惑が今回の「暴力団関係者お断り」の”看板”となったのだろう。このうえは今回の看板が単なるポーズでなく、是非とも本丸である暴力団への切り込み、つまり野球賭博の首謀者を挙げることで決着してもらいたいものだ。
 それにしてもNHKの相撲中継が中止となったせいか、相撲に関するニュースがより多く放送されているようでもある。相撲中継がないことで、却って取り組みの勝敗の行方への関心が高まり、相撲ファンも原点に戻っているような気がしないでもない。
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