鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

映画「ザ・コーヴ」の公開反対に動員されている人たちに対する疑問

2010-07-08 | Weblog
 艦船侵入などの罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード」のピーター・ベス-ン元船長に対し、東京地裁は7日、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。国際的に批判を浴びる日本の捕鯨活動に対し、暗に正当性を与えた形となったが、クジラと並んで保護の対象となっているイルカ漁について反対する立場で制作された米国の映画「ザ・コーヴ(入り江の意)」の公開にあたっても同じような局面となっており、保護か捕獲かをめぐって厳しい立場に立たされることとなりそうである。
 6日夜のNHKのクローズアップ現代で「問われる表現 イルカ漁映画」と題してこの3日から全国6カ所で公開された米国のイルカ漁に反対する映画「ザ・コーヴ」を取り上げていた。米国のドキュメンタリー映画のルイ・シホネス氏が和歌山県太地町でのイルカ漁を反対の立場から撮ったもので、実際にイルカ漁をする漁民とそれに反対する抗議団体の活動をドキュメンタリータッチで追っている。
 イルカ漁の漁師が「400年にわたって続けてきている漁をいまさら止めろ、と言われても困る」と言っているのを聞いて、日本では年間2万3000頭ものイルカが食用にされていることを初めて知った。それで生計を立てている人がいる限り、たとえ生態系を保護すべきとの論拠を出されてもそれを奪うのは行き過ぎの感がなくもない。
 問題はこの「ザ・コーヴ」がことしの米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞して、保護活動にお墨付きを与えたような印象を与えてしまったことだ。文化としての映画を楽しむことがイルカ漁反対への動きを支持するような色彩を与えたことから、映画の公開そのものを阻止しようとの動きが出始めた。
 クローズアップ現代ではまず全国6カ所のうち横浜・伊勢崎町の映画館、横浜ニューテアトルが公開初日を迎えるにあたって、あれこれ対策を講じて、やっと公開に結び付けた場面から放送していた。以前に訪れたことのある映画館の支配人が長谷川という名前であることも初めて知ったが、以前に同じような状況で公開を取りやめて忸怩たる思いをしたことを反省して、今回は断固公開することにした、と語っていたのが印象的だった。
 テレビを見ていて不思議に思ったのは一見右翼と思われるような人物が公開反対のデモの場に多数いることで、イルカ漁反対の映画の公開を反対する抗議活動に参加する市民はともかく、いかにもその筋につながる人たちというのはどういう経路でそうした運動に参加しよ、との指令が下り、なおかつ謝礼のようなものはだれが支払うものなのだろうか、ということだった。いま、大相撲で話題となっている野球賭博のように実際におカネがやりとりされることなら、その筋の人が汗を掻くのは理解できるが、この場合おカネが生まれる余地は全くといっていいほどない。それなのにおsの筋の人が何も分からずに動員されてくるのは、だれか裏でおカネを出す有為な人がいるものなのだろうか。
 映画「ザ・コーヴ」にはイルカが血を流すシーンと浜辺で涙を流す外人女性のシーンを結び付けて、あたかも可哀想なイルカを見て泣いているようなものに仕立て上げている撮影のトリックがあったり、水産庁の担当課長が辞任していないのに責任を取って辞めたように伝えていて、映画制作上許せないような技法が用いられている、とも指摘していた。映画に限らず芸術には多少の誇張はあるが、事実を捻じ曲げて伝えるのはよくないことだ。
 今回は映画となったことで、イルカ漁がいかに不当なものであるかが世界に伝えられたが、捕鯨にしろ、イルカ漁にしろ国際世論に押されていずれは縮減していかざるをえないことだろう。
  
 
コメント (3)
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