鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

国家戦略室縮小は民主党にとって致命的なダメージとなる

2010-07-25 | Weblog
 7月11日の参院選以来、政治の動静は膠着したままとなっているが、先ごろ民主党が打ち出した国家戦略室の縮小案に党内外から大きな批判が起きている。自公政権から民主党政権へ移行した昨年8月に政権交代の象徴として国家戦略室なるものが創設され、政治がそれまでの官僚主導から政治主導へ変わるものと期待されたのに、わずか1年も経たないうちにその旗を降ろしてしまうなど菅直人首相はすっかり弱気になっているようで、今後の23年度予算編成にあたっていかなる新戦略が打ち出されるものなのか、いまから期待外れとなることが目に見えている。
 国家戦略室は鳩山政権の副総理を務めた菅首相自らが担当となった民主党政権の核ともいえる組織で、すでに翌年度の予算の骨格が決まっていた昨年よりは今年から本来の役割りを果たせるものと見られていた。それを参院選で予想外の敗退を喫して、すっかり弱気になった菅首相が縮小を打ち出したもので、これに対して国家戦略局構想の推進役だった松井孝治党政調副会長が公然と首相批判を展開しだした。
 それでなくとも党のマニュフェストであった消費税の上げを不用意に持ちだし、あげくの果てに国民から猛反発を招き、すっかり自信を失くしたのか、菅首相は従前の笑顔が消えて首相官邸に入る姿も渋面そのもの。新聞テレビの内閣支持率の世論調査でも最近は「不支持」が「支持」を上回る状況で、菅内閣発足1カ月余にして早くも末期症状的な様相を呈し始めている。
 そんな折り、出版社の幻冬社から夫人の菅伸子さんの書いた「あなたが総理になっていったい日本の何が変わるの」が出版された。一般に本の執筆には数カ月はかかるので、首相に就任する前あたりから書き始めたか、それ以前から書いたものを時期を見計らって出版したのだろうが、タイトルを決めて出版することにしてから1、2カ月は要していることだろう。そいれにしてもかくも急激に内閣の支持率が降下するとは夫婦ともども思いもしなかったことだろう。いまとなって、このタイトルは皮肉にしか聞こえてこない。妻ならずとも一般国民が口にしたいフレーズとなってしまったのだから、菅夫人はいまごろは後悔していることだろう。25日のTBSテレビの「時事放談」によると、菅首相は報道陣に感想を聞かれて「怖くて読んでません」と答えたようだが、まさにそうとしか答えようがなかったことだろう。
 国家戦略室の縮小に続いて、鳩山前首相が首相退任時に公言した「次期衆院選には出馬しない」との約束を撤回した。国の最高権力者の言がいとも簡単に撤回されるということ自体、日本という国はどうなっているのだろう、と思うし、少なくとも民主党政権に対する信頼はなくなってしまう。総理大臣を務めたほどの人がそうしたことを考えもせずに簡単に前言を翻す、ということの言葉の軽さに愕然とせざるを得ない。
 菅直人首相は民主党のなかで最も首相になって手腕を発揮してもらいたい、と国民のだれしもが思っていた人ではなかろうか。その期待の人物がいざ首相の座に就いてみると、期待外れの言動を繰り返すのでは民主党に対する幻想だったのか、と思いたくなってくる。このまま菅さんに首相を続けてもらって改善することが果たして期待できるのだろうか、菅さん以外に首相を務められるほどの人材がいるものなのか、考えてくると気が滅入ってくる。
 いまさら自民党に再び政権を託す気にはなれない。そうなると、もう政治には期待したくもない、気になるしかない。
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