民主党の小沢一郎代表が7日、2日間の辞任騒動を引き起こしたことをお詫びするとともに代表の座に復帰した。迷惑をかけたし、不信任されたと辞任したのを民主党の幹事長はじめ幹部・党員あげて代表に存続を要請していたのを、7日付けの日本経済新聞の一面コラム「春秋」が弟スサノオノミコトの振る舞いに激怒して天の岩戸に隠れた天照大神になぞらえて揶揄していたが、小沢代表の場合は自ら招いた種ではあるが、これだけ党をあげて留任を説得されれば受けざるを得ないだろう。それにしても小沢代表の復帰会見で明らかとなった渡辺恒雄読売新聞グループ会長兼主筆の自民・民主の党首会談の仕掛けが改めて問われることになりそうである。
小沢代表によると、2カ月前にさる人から呼び出しを受け、自民党と連立することを諄々と説かれた、という。そして、その1カ月後に今度は福田首相の代理と称する人から連立の話があり、「直接、首相から話を聞きたい」と言ったところ、党首会談となった。最初のさる人の名前は言えないが、来いと言われれば否とは言えない人である、と暗に中曽根元首相であることを匂わせた。小沢氏が先月末に与謝野馨前官房長官と囲碁対決をしたが、与謝野氏は中曽根氏の秘書を務めた人で、これが伏線であった、と見る向きがある。
ともあれ、中曽根氏との会談の場に渡辺会長が臨席したかどうかわからないが、渡辺会長が自民・民主の連立に大きく関与していたのは明らかである。
小沢氏の会見では読売新聞の記者が「マスコミが事実無根なことを書くというからには事実を教えて下さい」との質問に対し、小沢氏は「連立に関して取材を受けたことは一度もない。なのに連立を持ちかけたのは小沢だ、と書かれるのははなはだ迷惑だ」として、経緯を説明した。
小沢氏の説明には事実のすべてが語られているとは思えない部分がないわけではないが、筋は通っており、うそはないとみていいだろう。問題の連立に同意したとの点については否定し、参院選以来、肉体的にも精神的にも疲れていた、とも弁解した。また、「民主党が力不足で政権担当能力がない、との発言については総選挙で自民党に勝てるところまで至ってない、との意だ。また、政権担当労力がない、とは各方面からそうした声がある、と言ったつもりだ」と訂正した。
これで、小沢氏の代表復帰への疑念はほぼ解消して、改めて総選挙で自民党に代わって政権を奪取する体制が整った、と見ていい、と思う。
そこで、残る問題は渡辺会長の連立への関与である。新聞経営者として、連立が必要である、と論陣うぃ張るのはいいとして、それを推進するために仕掛け人として立ち回るのはいかがなものか、という思いがしてならない。明治時代ならともかく、いまは何事も公明正大さが求められる時代である。
新聞社の使命は世の中をあるべき方向に導くように政治家、官僚の行っていることを監視していくことにあることは言うまでもない。ただ、それも論陣を張って批判することまでで、直接手を下すことは行き過ぎではなかろうか。8日発売の週刊誌によると、連立後の自民・民主新内閣の閣僚の割り振りは渡辺会長が作成した、との話を伝えている。経済案件ならフィクサーとしてインサイダー疑惑をかけられても仕方がないところである。
政治案件でも政党が結びつくことで、なんらかの利権が発生しないとも限らない。渡辺会長が私利私欲で動いたとは考えられないが、仮に渡辺会長の周囲に1人でもそうした人がいて、私腹を肥やすことがあったとしても止められなかったことだろう。
まして、いま新聞業界を取り巻く環境は消費税のアップ、再販問題など行政の動向によって経営が大きく左右され状況にあるうえ、新聞そのものもインターネットの普及でますます存在感を薄くしつつある。
今回の渡辺会長の行動にどう決着がつくのか予断を許さないが、渡辺会長の今回の挙措はいつの日か、没落した新聞業界最後の勇姿として、語り継がれるような気がしてならない。
追記 8日付けの朝日新聞が2カ月前に小沢代表が会ったのは渡辺会長で、先月の福田首相の代理は森喜朗元首相である、と書いている。中曽根元総理は黒子に徹していたようであるが、中曽根・渡辺ラインで描いたシナリオであったのがこれではっきりした。同日付けの毎日新聞が渡辺会長の行動はメディア関係者として行き過ぎであることを評論家の口を使って言わせている。現役のメディア人がフィクサーをするとは政商といわれても仕方がない。読売新聞不買運動にまで発展するようなことはないが、一層読売紙面に対する不信感を増したことだけは間違いない。
小沢代表によると、2カ月前にさる人から呼び出しを受け、自民党と連立することを諄々と説かれた、という。そして、その1カ月後に今度は福田首相の代理と称する人から連立の話があり、「直接、首相から話を聞きたい」と言ったところ、党首会談となった。最初のさる人の名前は言えないが、来いと言われれば否とは言えない人である、と暗に中曽根元首相であることを匂わせた。小沢氏が先月末に与謝野馨前官房長官と囲碁対決をしたが、与謝野氏は中曽根氏の秘書を務めた人で、これが伏線であった、と見る向きがある。
ともあれ、中曽根氏との会談の場に渡辺会長が臨席したかどうかわからないが、渡辺会長が自民・民主の連立に大きく関与していたのは明らかである。
小沢氏の会見では読売新聞の記者が「マスコミが事実無根なことを書くというからには事実を教えて下さい」との質問に対し、小沢氏は「連立に関して取材を受けたことは一度もない。なのに連立を持ちかけたのは小沢だ、と書かれるのははなはだ迷惑だ」として、経緯を説明した。
小沢氏の説明には事実のすべてが語られているとは思えない部分がないわけではないが、筋は通っており、うそはないとみていいだろう。問題の連立に同意したとの点については否定し、参院選以来、肉体的にも精神的にも疲れていた、とも弁解した。また、「民主党が力不足で政権担当能力がない、との発言については総選挙で自民党に勝てるところまで至ってない、との意だ。また、政権担当労力がない、とは各方面からそうした声がある、と言ったつもりだ」と訂正した。
これで、小沢氏の代表復帰への疑念はほぼ解消して、改めて総選挙で自民党に代わって政権を奪取する体制が整った、と見ていい、と思う。
そこで、残る問題は渡辺会長の連立への関与である。新聞経営者として、連立が必要である、と論陣うぃ張るのはいいとして、それを推進するために仕掛け人として立ち回るのはいかがなものか、という思いがしてならない。明治時代ならともかく、いまは何事も公明正大さが求められる時代である。
新聞社の使命は世の中をあるべき方向に導くように政治家、官僚の行っていることを監視していくことにあることは言うまでもない。ただ、それも論陣を張って批判することまでで、直接手を下すことは行き過ぎではなかろうか。8日発売の週刊誌によると、連立後の自民・民主新内閣の閣僚の割り振りは渡辺会長が作成した、との話を伝えている。経済案件ならフィクサーとしてインサイダー疑惑をかけられても仕方がないところである。
政治案件でも政党が結びつくことで、なんらかの利権が発生しないとも限らない。渡辺会長が私利私欲で動いたとは考えられないが、仮に渡辺会長の周囲に1人でもそうした人がいて、私腹を肥やすことがあったとしても止められなかったことだろう。
まして、いま新聞業界を取り巻く環境は消費税のアップ、再販問題など行政の動向によって経営が大きく左右され状況にあるうえ、新聞そのものもインターネットの普及でますます存在感を薄くしつつある。
今回の渡辺会長の行動にどう決着がつくのか予断を許さないが、渡辺会長の今回の挙措はいつの日か、没落した新聞業界最後の勇姿として、語り継がれるような気がしてならない。
追記 8日付けの朝日新聞が2カ月前に小沢代表が会ったのは渡辺会長で、先月の福田首相の代理は森喜朗元首相である、と書いている。中曽根元総理は黒子に徹していたようであるが、中曽根・渡辺ラインで描いたシナリオであったのがこれではっきりした。同日付けの毎日新聞が渡辺会長の行動はメディア関係者として行き過ぎであることを評論家の口を使って言わせている。現役のメディア人がフィクサーをするとは政商といわれても仕方がない。読売新聞不買運動にまで発展するようなことはないが、一層読売紙面に対する不信感を増したことだけは間違いない。