prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「スイス・アーミー・マン」

2017年10月23日 | 映画
無人島で死体と一緒に過ごす、その死体が色々と「便利」に使えて一種の友情を育んでいという発想一発で短編としてまとめれば面白くなっただろうけれど、長編とすると途中で息切れする。

便利に使えたりあれこれ話したりできるのはいいけれど、そうなるとあまり死体らしくなくなるという本質的な矛盾が出てくるし、これといった寓意が感じられるわけでもない。

無人島から陸に上がるあたりもどこが違うのかメリハリが効かないし、思慕を寄せていた女性との描き方も如何せん一方的に過ぎる。

発想だけでは映画にはならないということだろう。
予告編でかなり期待していたのだけれど、それ以外のところであまりいいところがない。
(☆☆★★★)

スイス・アーミー・マン 公式ホームページ

映画『スイス・アーミー・マン』 - シネマトゥデイ

スイス・アーミー・マン|映画情報のぴあ映画生活



本ホームページ

10月22日(日)のつぶやき

2017年10月23日 | Weblog

「エルネスト」

2017年10月22日 | 映画
冒頭かなりの尺数を割いて広島の原爆祈念碑を訪れ、アメリカの原爆投下の責任を曖昧にする「過ちは繰り返しませぬから」という碑文に主語がない事実を指摘し、原爆の惨禍をもたらしたアメリカの責任そのものは問わないでやり過ごしてきた日本の属国ぶりを間接的にだが端的に現す。

日系人の主人公とはいえ、直接の日本との関わりはさほどなく、アメリカ(とソ連、つまりは大国)の傲慢に対する態度の違いを浮き立たせる普遍的な交錯点のような立場として描かれる。

フレディ・前村・ウルタードの医学生として直接人の命を助けうる立場にいる者が、革命家として直接人を殺すか殺されるの立場に立つアイロニーを、青年の純粋さといった図式ではなく生死の交錯点として置いている。
フレディが子供の頃に溺れかけた体験と、医学生として解剖実習で見る防腐剤の液体に漬かった死体が、液体という一点で生死の間を示す映像ならではの暗示性能を見せる。

戦場での名前をエルネストと変えるのは「千と千尋の神隠し」でも描かれた名前を奪う(元には全体主義社会や軍隊の実例に基づく)のと微妙に重なり微妙にずれている感。

キューバの街並みのなんともいえず風情のある感じが魅力的。どの程度デジタル処理したのかは知らないが、阪本順治監督がラジオのインタビューで話していたが、それほどいじっていないとのこと。
感心したのはむしろ50年以上前の日本の風俗の再現で、エボナイト製の黒電話機が並んでいる画をはじめ光の当たり方といい画面の厚みは時代は違うが熊井啓の「謀殺 下山事件」をちょっと思い出したくらい。

オダギリジョーが全編スペイン語で通した芝居は立派だし、途中から立派といちいち思わないくらい板についてくる。

フレディやゲバラ軍隊のように医学部に進学できるのは恵まれた層で、本当に貧しかったら軍の最下層の汚れ仕事に就いて革命軍を狩る側にまわるというアイロニーの描き方は事実にせよ痛烈さで今一つ。
(☆☆☆★)

エルネスト 公式ホームページ

映画『エルネスト』 - シネマトゥデイ

エルネスト|映画情報のぴあ映画生活



本ホームページ

10月21日(土)のつぶやき

2017年10月22日 | Weblog

「あしたは最高のはじまり」

2017年10月21日 | 映画
遊び人の男のところに前にちょっと関係した女がやって来てあなたの娘だと赤ちゃんを置いて行ってしまう、という出だしはフランス映画「赤ちゃんに乾杯!」、そのリメークの「スリーメン・アンド・ベイビー」をもろに思わせるけれど、赤ちゃんが成長して8歳になってからその置いていった女が戻って来てどうなるかというあたりが「クレイマー・クレイマー」調の展開になる。
これを足すとつまり勝手に赤ん坊を父親?に押しつけた女がまた一方的に取り返そうとする話になるわけで、どうしても身勝手にしか見えないし、第一筋として相当に行き当たりばったりということになる。

フランスで始まった話が途中が舞台がロンドンになって、セリフも英仏ちゃんぽん。最近はずいぶんイギリスで暮らすフランス人も多くなっているのだなと思わせる。

娘に母親がどうしているのか情報員として世界を飛び回っているといってウソをつくというのもずいぶんな話だし、第一どうやって母親が生活していたのかといった大事なところがわからないし、なんで最初に赤ちゃんを押し付けられた時に公的機関に任せることを考えなかったのか、見ている限りおよそわからない。

その他まあネタバレになるから書かないが、伏線も何もなしにいきなりぽんぽんと唐突な、しかも重大な展開を見せるところがままある。

出演者に愛嬌はあるけれど、正直、いちいち突っ込むのが面倒になるくらいディテールも全体の建てつけも甘い。
(☆☆★★★)

10月20日(金)のつぶやき

2017年10月21日 | Weblog

10月19日(木)のつぶやき

2017年10月20日 | Weblog

10月17日(火)のつぶやき

2017年10月18日 | Weblog

10月16日(月)のつぶやき

2017年10月17日 | Weblog

10月14日(土)のつぶやき

2017年10月15日 | Weblog

10月13日(金)のつぶやき

2017年10月14日 | Weblog

10月12日(木)のつぶやき

2017年10月13日 | Weblog

10月11日(水)のつぶやき

2017年10月12日 | Weblog

10月10日(火)のつぶやき

2017年10月11日 | Weblog