
まず物凄い長回し演出にびっくりする。ワンシーンワンカットどころかワンエピソードワンカットを平然、という調子でやってのけている。
重いカメラに10分ぶんのフィルムしか詰められなかった「ロープ」の頃のヒッチコックが見たらどう思うだろう、と想像を巡らしたり、「映画の表現は理論では変わらないが、機材の変化で決定的に変わる」という実相寺昭雄の言を思い出したりした。こういう作りはカメラのデジタル化と軽量化なしにはありえなかった。
第一話は少年が殺人で逮捕され父親とともに無罪を主張し続けるがあにはからんや犯人であることがわかる(引いたサイズの長回しのモニター画面ではっきり写らないのにそれとわかる)。
第二話はその少年が通っている学校に刑事たちが行き聞き込みをするのを大勢の生徒たちの芝居をものすごいヴォリュームでわしづかみにし、ラストはドローンで舞い上がり舞い降りて締めくくる。
第三話は少年と女性監察官とのほぼ一対一の対決で少年が錯乱してめちゃくちゃになるまで。
第四話は少年の父親はじめ残された家族たちのかなりとりとめのないエピソードと、集中と拡散をエピソードごとに交代して全体としてリズムとメリハリをつけている。
アドレセンスというとふつう思春期と訳されるが、罪は許されないがかといって成熟していない、ある意味いまどきの歳だけくった成年たちを指すのではないかと思えた。