驚いたのは、一卵性双生児の役を演じているのはてっきり一卵性双生児そのものだとばかり思ってたのだが、新人ティティヤー・ジラポーンシンがひとり二役の合成で演じているのだという。
こういうと何だが、タイみたいに「発展途上」と思われている国柄で、画面も大半は田舎を舞台にいかにも鄙びた感じでまとめているもので、そんなに高度な合成技術を使っているとは思わなかった。とにかく本当に同じ顔の人間が二人いるとしか思えない。もう一度見て確かめてみるか。
そして一卵性双生児そのものなのは監督のワンウェーウ・ホンウィワットとウェーウワン・ホンウィワットのふたりの女性の方というのがまたびっくり。
また驚いたのはティティヤーが2005年1月4日生まれ、つまり撮影時はおそらくハイティーンだったわけで、てっきり日本だと中学生くらいの歳だとばかり思っていた。体格が小学生なみに細いし、作中で初潮を迎える設定だったりするのだから。
冒頭のレストランや映画館のシーンは、一人分の料金でズルして二人食べたり見たりしているのでないと意味が通じないのだが、あの描き方では二人分の料金をもう支払ってしまっている、どこがお得なのかわからないとしか思えない。
そのあたりの描写でひっかかるところが散見する。
緑や水の透明感豊かな風景の魅力が大きい。
そればかりでなく、両親が離婚してどちらがどちらを引き取るのかというところで文字通り難しい決断を迫まれる。
Y2K=2000年問題というのが出てくるので、そういえばそんなのあったなと思い出した。考えてみると、ノストラダムスが予言していたのが1999年7の月で、ややずれて大晦日になったとはいえ、妙にタイミングが合ってはいるのだね。
タイの縁日みたいな祭で射的だの綿アメだのメリーゴーランドなどが出てきて、それらが同じような道具立てなのだが色彩感覚や造形感覚が歴然と違うのが面白かった。