prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「化石の森」

2020年05月25日 | 映画
オープニングの杉村春子が雪の村を出て行って列車に乗り東京へ向かうまでのタイトルシーンは、武満徹の音楽といい粟津潔のデザインといい、それ自体が独立したモダンな短編映画の趣があるが、本筋に入ると石原慎太郎原作らしく何やら小難しいことを理屈を並べてはいるけれども、煎じ詰めてみるとセックスと暴力ではないかっていう印象は免れない。

岸田森が頭をクリクリに剃り上げた元医者だと言う新興宗教の坊主役でワンシーンだけ現れ心にもない調子で救いを説くが、ここがもっともらしくも怪しげで結局一番面白い。

杉村春子が働いているラブホテルでのベッドが回転するだけでなくせりあがるのが面白い。のちに禁止されたはず。

岩下志麻の特別必要はかなり意味不明。

杉村春子が蒸気でしきりと喉を湿らせていると言った形の作り方から入った芝居が印象的。

ショーケンは曖昧なキャラクターを本来の持ち味の曖昧さとうまく一体感できず中途半端に終わった。

篠田正浩が講演で、どうしても映画化したくて映画化したのがこれだと言っていたが、どこにそんな少なくとも出来上がった作品からは判然としない。





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