prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「レミニセンス」

2021年09月26日 | 映画
ヒュー·ジャックマンのナレーションで話を運んでいくあたりで、「ブレードランナー」のようなSFガジェットをまとったハードボイルドであることがわかる。

水没しかけた世界というのはバラードの「沈んだ世界」のような温暖化による滅亡のイメージでもあり、「パラサイト 半地下の家族」で典型化したように貧富の差の絵解きでもあるのだろう。
人間の無意識を含んだ記憶を鮮明化するという点でちょっとソラリスの海もひっかかっているのかも。

ハードボイルドといったら謎めいた危険な美女がつきもので、これが「グレイテスト・ショーマン」でもヒューと共演していたレベッカ·ファーガソン。
監督(兼脚本)が女性のせいか時代のせいか男の目から見た蠱惑的な美女というにはちょっと撮り方が散文的に思えた。

普通に場面が進展していると思うと、ぱっと記憶潜入用の水槽で起き上がるところにとんで、それまでの場面は実は記憶の中の出来事でしたというつなぎが頻発する。記憶も、というか記憶こそ現実といった世界観が入っている。

ハードボイルドだから最終的にはセンチメンタリズムにまとまる。
現実にはいなくなった記憶の中の女を執拗に現実化しようとする話という点でヒッチコックの「めまい」っぽくもあるが(タンディ・ニューマンの立ち位置などバーバラ・ベル・ゲデスっぽい)、あれほど病んだ印象は良くも悪くも薄い。

宣伝ではジョナサン・クリストファーの弟・ノーランの名前を前面に出しているけれど、製作に噛んでいるだけで監督だけでなく脚本もリサ・ジョイ。夫婦だそうだけど。





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