prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ロボコップ」

2014年04月07日 | 映画
アメリカ以外の国を機械兵士で治安を維持するようになった世界で、アメリカ国内での治安維持(という口実のもとの市場拡大)のために企業がロボット兵士を売り込もうとして、機械的に射殺されるのはたまらないという市民感情の反発を抑えるために、人間の感情と判断を導入したロボ警官を作る、というあたりのブラックな論理構成がリブートにふさわしくうまく現代化されている。
導入反対している連中にしたって、アメリカ以外はどうでもいいのだからいい気なもの。

オリジナルだと人間としてのアイデンティティが金属ボディに埋もれているのをだんだん思い出して取り戻すという作劇をとっていたのだが、こちらは初めから人間としての意識を持っていたのが任務達成の都合上だんだん感情を抑えられるようになるというのが怖い。
ボディの色がその変化に応じている。

接点に物体としての脳があるわけだが、これを今の脳科学式に機械論的な方法で解析すると、脳の機能=人間性も機械と変わるところがなくなってしまうので、画面として描くのも難しいこともあってそのあたりは曖昧になっている。

オムニ社によってあらかじめ組み込まれたセーフティを乗り越えるあたりも、「おまえはクビだっ」でぴしっと決まったオリジナルみたいなわけにいかない。

ジョゼ・パジーリャ監督はブラジル時代の傑作「エリート・スクワッド」でも見せた警察の腐敗のひどさをここでも再現するが、やや通り一ぺん。
銃撃シーンはオリジナルみたいな直接的な人体破壊ぶりは見せないが、電撃をくって悶絶するあたり、じんわりと陰険な感覚を出して、
ばたばたやっつける西部劇的快感をやや抑えている、

街をバイクで疾駆しながら監視カメラで集めた映像を検索して分析するあたりのすごい量の情報を畳み込むように処理するスピードが快感。

前作では完全にオミットされていた家族の描写が全体の軸になっていて、べたつかない範囲でうまく処理されている。

工場を中国に置いているのは経費の問題という以上に人権問題をスルーするためではないかと思わせる。

やたらタカ派的な発言をするキャスターがノヴァックという東欧風の名前で、演じているのがアフリカ系のサミュエル・L・ジャクソンというあたりもひねくれている。
(☆☆☆★★)



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ロボコップ@ぴあ映画生活

映画『ロボコップ』 - シネマトゥデイ


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