prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ヘルタースケルター」

2012年08月05日 | 映画
音楽が画面からするとありがちなCM調のポップスとかではなくて、いわゆる現代音楽(アコースティックな楽器を使って高度な書法で書かれた曲とでもいった程度の意味)調の音楽でずっと通していて、後半ベートーベンの「第九」、パッフェルベルの「カノン」、シュトラウスの「美しき青きドナウ」といったポピュラークラシックになるのが興味をひく。

いったい何回衣装替え、ヘアメイク替えをしたのだろう。これだけファッションに淫した映画って、日本では空前。
色彩設計の徹底ぶり。ずらっと並んでいる自動販売機の照明の色が少しづつ全部違っているといった具合。

オープニングの包帯にぐるぐる巻きになった沢尻エリカの顔が現れてアップになったとき、極端な人工美とともに明らかに口元にわずかにたるみが見える。と思ったら次のシーンで大森南朋がセリフでそう指摘する。修正しようとおもったら簡単で、逆に微妙にたるみを出すのに相当に手をかけているのではないか。

沢尻エリカは、はまり役を通り越して、虚実皮膜ならぬ裏も表も虚、コピーにコピーを重ねてどこにもオリジンなどなくなったメディアのアイコンそのもの。

整形しすぎにドラッグやったらあんな崩れ方ではすまないと思いますけれどね。あちらのスターの写真見てぞっとすることしばしばだもの。

画の凝り方はすごいけれどシーンをつむいでいく呼吸がいまいちで、硫酸騒動の前で明らかにシーンがとびすぎているし、「ドナウ」で終わったと思ったらその後二つも三つもシーンが続くのはどうも蛇足に思え、ここだけ勝手にカットした私家版が作れないかと妄想した。
(☆☆☆★)



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