prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「デス・ウィッシュ」

2018年11月03日 | 映画
「狼よさらば」のリメイクなわけだが、あれのラストでチャールズ・ブロンソンがニューヨークからシカゴに移るのに合わせたように今回の舞台はシカゴ。
ニューヨークの治安が70年代に比べるとかなり良くなったのに対応したのかもしれない。

ただし時代を現代に置き換えたのをはじめずいぶん変更を加えており、主人公のポール・カージーの職業を建築家から外科医にしたのは効果的だった。人の命を救う人間が同時に悪人とはいえ人を殺してまわるわけだから。
マルチスクリーンで片方の画面には手術の様子、片方には銃の手入れを同時に平行して見せていく演出などこのモチーフを文字通り画に描いたようだった。
外科医の知識を応用して拷問する場面が怖い。医者が知識を悪用するとえらいことになると思った。

また、旧作では妻娘を暴行したチンピラたちを探して復讐するよりは似たような街のダニ全般に対して悪いことをする前に退治してしまえといったアメリカ伝来のずいぶん乱暴な自警主義、ヴィジランティズムが前面に出ていて、それはイタリア出身のプロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが好んでアメリカ社会批判を盛り込みたがった現れだったろうが、今回は一向に捕まらない犯人たちを私的に探し出して復讐する話に絞っていて、「正義」の独善から暴走といった意味合いは薄れた。

また妻が殺されるのは旧作と同じだが、娘が旧作ではレイプされるけれど今回は殴られて植物状態になるが性的にどぎつい描写はなし。現代では女性を興味本位あるいは扇情的な「見せ場」の素材にするのは基本NGというわけだろう。

監督が「ホステル」のイーライ・ロスとあって暴力描写は相当リアルだがクイック・カットで処理しているのと手術場面と一緒に見せられるので、それほどエグい感じはしない。

ブルース・ウィリスが左利きであることを強調した役で(実際にもそうらしい)、初めて拳銃を撃つ時にスライドに左手がはさまってケガをするのだが、そのケガに警察が気づいてどうにかなるのかと思うと特にどうともならなかったり、作りとするとかなり雑なところがある。というか、シカゴ警察の無能とやる気のなさはヒドい。担当刑事が「ブレイキング・バッド」「アンダー・ザ・ドーム」のディーン・ノリスというキャスティング。

「デス・ウィッシュ」 公式ホームページ

「デス・ウィッシュ」 - 映画.com


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