巣鴨プリズンに拘留中のB,C級戦犯を扱った、のちのA級戦犯の裁判が主だった「東京裁判」につながる小林正樹監督作。
巣鴨といったらA級戦犯である岸信介が収監されていたことでも有名だけれど、そちらの方がほぼ完全に切り落としている。ここで描けなかった分を「東京裁判」で取り返した格好。
伊藤雄之助が朝鮮人の戦犯役というのに驚く。
脚本が安部公房なのだが、タッチそのものはリアルなのだが描かれている状況が不条理というちょっとカフカのような世界。
ドラマとしての全体の結構があまりはっきりしていなくて、マジメすぎる調子もあって面白いというわけにはいかない。毎度のことながら、セコい上官が下っぱに責任を押し付ける構造は日本そのもの。