prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「キンスキー、我が最愛の敵」

2007年03月16日 | 映画
キンスキーが素で周囲に怒鳴り散らしている撮影合間のドキュメント・フィルムがときどき入るが、映画に使われたフッテージと変わりがないのがなんだか可笑しい。ちょっとでも自分から周囲の関心が離れると喚き散らしたというのだからかなわない。

「フィッツカラルド」撮影中に現地民が来て「やれと言うならあいつ(キンスキー)を殺すけど、どうする」とマジで言ったというのだから凄い話だし、その現地人の怒りを映画にとりこんだ演出にも感心するやら呆れるやら。

狂気、というのはキンスキーとヘルツォークの共通のキーワードみたいだが、自己演出の匂いもする。

ヘルツォークの新作はなんでもRescue Dawnというクリスチャン・ベール主演のベトナム戦争で撃墜されたアメリカ兵のサバイバル・ドラマらしいのだが、Quicktimeで見た予告編で見た限りではベトナムを「ランボー・怒りの脱出」まがいの「野蛮」な世界として描いているようでイヤな感じ。大丈夫かいな。
まあ、「アギーレ」にせよ「フィッツカラルド」にせよ、差別的といえば差別的に決まっているし「小人の饗宴」なんかもっとそうだ。

キンスキーをなくしたヘルツォークには、三船をなくした黒澤とかニーノ・ロータをなくしたフェリーニのような印象を受ける。


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