1964年製作のチェコ映画。監督ヤン・ネメッツは1936年生まれだから、この時28歳(2016没)。
フランスでのヌーベルバーグやポーランドのワイダなどの登場など、世界的に一斉に若者たちが内容も表現も新しい映画をひっさげて登場してきた動きの産物のひとつだろう。
冒頭、列車から飛び降りた十代の少年ふたりが野山を走って逃げるのに、追う男たちの声と銃声がかぶさる中えんえんたる移動撮影で追っていくところから極端にセリフが少ない一見直線的な追跡劇かと思わせて、ぱっぱとその中に鮮烈な調子で異質なカットが散りばめられていく。
それらのカットは回想のようでもイメージのようでも未来のようでもあって、映画の進行につれて次第にカット構成が行きつ戻りつ式に複雑になり、死の直前にきれぎれの記憶が限りなく引き伸ばされていくような時間感覚を持つようになる。地を這うような少年たちを描きながら映像感覚はきらびやか。
銃声の主は人間をビールを飲むのと同じ感じで面白半分に狩る老人たちで、同じようなパンを食べても少年たちは吐き出してしまうのに、老人たちはもぐもぐ食べてしまうなど、グロテスクなコントラストを見せる。
個々の具体的な物を同時にシンボリックに見せるのは白黒映像ならでは。蟻がびっしりたかった手のアップなど「アンダルシアの犬」っぽい。
カメラ担当にミロスラフ・オンドリチュクの名前がある。のちにアメリカに渡って「アマデウス」などの撮影監督を務めた人。
(☆☆☆★★★)
夜のダイヤモンド - 映画.com
Démanty noci -
IMDb
本ホームページ
フランスでのヌーベルバーグやポーランドのワイダなどの登場など、世界的に一斉に若者たちが内容も表現も新しい映画をひっさげて登場してきた動きの産物のひとつだろう。
冒頭、列車から飛び降りた十代の少年ふたりが野山を走って逃げるのに、追う男たちの声と銃声がかぶさる中えんえんたる移動撮影で追っていくところから極端にセリフが少ない一見直線的な追跡劇かと思わせて、ぱっぱとその中に鮮烈な調子で異質なカットが散りばめられていく。
それらのカットは回想のようでもイメージのようでも未来のようでもあって、映画の進行につれて次第にカット構成が行きつ戻りつ式に複雑になり、死の直前にきれぎれの記憶が限りなく引き伸ばされていくような時間感覚を持つようになる。地を這うような少年たちを描きながら映像感覚はきらびやか。
銃声の主は人間をビールを飲むのと同じ感じで面白半分に狩る老人たちで、同じようなパンを食べても少年たちは吐き出してしまうのに、老人たちはもぐもぐ食べてしまうなど、グロテスクなコントラストを見せる。
個々の具体的な物を同時にシンボリックに見せるのは白黒映像ならでは。蟻がびっしりたかった手のアップなど「アンダルシアの犬」っぽい。
カメラ担当にミロスラフ・オンドリチュクの名前がある。のちにアメリカに渡って「アマデウス」などの撮影監督を務めた人。
(☆☆☆★★★)
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