prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ」

2021年05月17日 | 映画
シリアルキラーというのは逆説的にロマンチックなイメージを付与されることがあって、つまり常識を越えた非日常的な行動に踏みきれた人間という見方がされたりもするのだが、まあこの実在の殺人鬼フリッツ⋅フォンカは冒頭こそ殺人と死体切断という定番のシーンから始まりながら、切断した死体を遺棄するのが途中でやめてしまい、ゴミを出すのが面倒になったとでもいった調子で残りを屋根裏部屋の隅に押し込めてしまう。

それから彼がすることと来たら、酒場で酔っ払ってくだを巻き、女たちに絡んでセクハラを通り越した嫌がらせそのものの暴言を吐きまくる。ミソジニー(女性嫌悪)丸出しだが、そのくせ、やりたがるだけはやりたがる。
やりたがるくせに、いざとなると役に立たないというテイタラク。

ただし女性たちも似たりよったりのルンペン揃い。
醜く不潔で逆説的にでも ロマンチックなところがまるでない。裸になってもおよそエロチックですらない。
何人も人を殺しておいて、このぐだぐだした世界から逸脱することはない。
シリアルキラーもので、逆にこういうアプローチも珍しい。

主演のヨナス・ダスラーの素顔を見ると若くて美男子なのにびっくり。すごいメイクだし、遠慮のない演技。