prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「2001年宇宙の旅(IMAX版)」

2018年10月23日 | 映画
正真正銘の大画面で見るのはテアトル東京のリバイバル以来だからずいぶん久しぶり。
先日の70ミリ版は見逃した(というか、国立映画アーカイブのスクリーンの大きさは中くらいだからそれほど熱心にチケットを取ろうとしなかったから当然取れなかった)ので比較はできないが、ともかくでかい画面で見ると、スター・チャイルドの眼がゆっくり動いているのがわかる。

ただ黒の締まりがやや足りないような気はした。
余談だが、監督作「隠し砦の三悪人」のリメイクを釜山映画祭に出品した樋口真嗣が思いがけずダグラス・トランブルの講演をやっているのに神さまが遭遇したような気がしたと書いていたが、その時の演題がどうやって宇宙の質感(というのも何か変だが)をどう出したか、というものだったらしい。

あと、宇宙船の表面のでこぼこにできた影がきわめて鮮明でコントラストがくっきりしている。なんでも模型を一コマづつ動かしながらうんと絞って露光を長くして撮ったらしいが、後年のそれで再現されてはいてもここまで鮮明なのはあまりないのではないか。

すでに論じつくされたような映画だから改めて屋上屋を重ねるかもしれないが、気が付いたことはやはり書いておこう。

宇宙の旅、とついているが、その旅の間二つのことが常につきまとう。食べることと眠ることだ。
地球から宇宙ステーションに向かう旅でもステーションから月面基地に向かう間でもフロイド博士は眠っている。まずそうだけれどパック式、サンドイッチといった宇宙食を移動のたびに食べている。

これがディスカバリー号に移動の手段が変わっても五人のうち三人はコールド・スリープで眠ったまま。
食っちゃ寝、食っちゃ寝しているわけです。

また宇宙船や着陸用ポッドなどの出発を描かないで到着するところをやたらと丹念に描いている。ステーションとのドッキング、月面着陸。どこかに向かって進みだすのをはっきり見せるのはスターゲート・コリドーまでとっておいてあると言えるくらい

あと繰り返されることというと写真を撮ること。ステーションでも会議の様子を特に必要もなさそうなのに撮影しているし、月面から掘り出したモノリスの前で並んで記念撮影している。
どちらもなんだかたるんだ感じで、モノリスの前のキーンというすごい音(モノリスから木星に向かって出た電波が宇宙服備え付けの通信機で変換された音なのだが)はモノリスに叱り飛ばされているような感じ。やっていることはモノリスを前になで回すだけで猿人と大して変わっていないのだから。

図式的に言うと、途中までの旅は目的地がはっきりして記念を残すような観光旅行的な旅ということになる。
それがディスカバリー号から目的が何なのかわからず、途中からまったく行先がどうなっているのかわからない、違う次元に突入することになる。

スターゲイトの後半は地球の風景にソラリゼーション処理を施した映像になるのに初め見た時ややがっかりしたものだが、地球にメビウスの輪式にひとひねりして戻る構造には対応しているわけで、それなりに納得した。

「2001年宇宙の旅」 - 映画.com

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