prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「女と男のいる舗道」

2017年09月04日 | 映画
全部で12章に分かれている(原題は「自分の人生を生きる、12のタブローに描かれた映画」の意)、その第一章で出てくるアンナ・カリーナのヒロインとその別れた夫アンドレ・S・ラバルトの会話がほとんど全部背後から撮られていて顔がほとんど見えない、という大胆な撮り方からもうゴダール節。

それを言い出したら、ヒロインのアップにミシェル・ルグランの音楽が流れたと思ったらぷつっと断ち切られる音の処理もゴダール。

気まぐれに始まったかと思うと投げ出すような、筋道立てたはっきりした目的や意思ではなくその時々浮かび上がってきた言葉が引用され、断ち切られる。
一瞬一瞬のはかなさがそのままピンでとめられて永遠につながる、前衛と古典が同居したゴダール以外の何物でもないスタイルは、結局誰も真似できていない。

当時(1962年)ゴダール夫人だったカリーナに惚れ込んで撮っているのだろうと想像する一方で、なんだか小学生男子が好きな女の子に意地悪しているみたいな気もした。

カリーナがタバコを当時としてもずいぶんぷかぷか喫う。踊る姿がかわいい。というか一挙手一投足をフィルムに刻んでおきたくて撮ってる感じ。



9月3日(日)のつぶやき

2017年09月04日 | Weblog