ダリオ・アルジェントの「サスペリア2」「サスペリア」以前の第三作目。
妖しい男に尾行されて争っているうちに誤って刺し殺してしまうのを奇怪なマスクをした男に写真に撮られてしまう、というあたり、赤い緞帳を何枚もくぐり抜けていくのを前進主観撮影で捉えたり、くぐり抜けたらオペラ座のような空間に出るあたり、どうだと鼻をうごめかしている感じ。
カメラがナイフや注射器といった凶器に一体になって移動する、犯人の主観カメラというのを通り越して凶器の主観カメラとでもいうべき後年もずっと続く手法が確立している。
自動車事故で人が死ぬシーンではフロントガラスがひびが入って割れ、首が切れて転がるまでを超スローモーションにしてエンニオ・モリコーネの音楽に乗せてほとんど凝りくるった調子で描いている。
ただ主人公が男というのが恐怖感を削ぐし、探偵がオカマだったりおびえた主人公が間違えて郵便配達の首を絞めたりするのがコメディタッチでやってたりするのが、昔のイタリア大衆映画みたいでひどく泥臭いあたりは、いかにも不統一。犯人の設定も唐突だし、動機について自分でえんえんと解説して、その間主人公がでくの棒然として何もしないからだれてしまう。
タイトルになっている４匹の蠅というのが網膜に残った残像というのだから、ほとんど久生十蘭の世界をマジでやっていることになる。
何よりストーリー構成が行き当たりばったりなのは昔からで、別に直す気もなくてこれまで来てしまったのがわかる。
（☆☆★★★）
家畜人六号【小暮 宏】 @yapoono6
Dan Kogai @dankogai
佐野亨 Toru Sano @torusano1124
ナょωレよ″丶)ょぅすレナ @rna