prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

新・座頭市 #15  「仕込み杖が怒りに燃えた」

2012年02月05日 | 映画
監督 勝新太郎 脚本 新藤兼人

新藤兼人は劇場版「座頭市海を渡る」では「真昼の決闘」(脚本カール・フォアマン)を巧みに取り込んでいたが、これは 長谷川伸「沓掛時次郎」の 座頭市版。

草薙幸二郎の悪い親分が、横恋慕したおしの(真野響子)の亭主を亡き者にするため座頭市を殺しにやらせて返り討ちに会わせる。 おしのが親分の手下どもにさらわれそうになったのを亭主の仇である市に助けられ、さらにヤクザたちが放火した火事の中の事故で負傷した市を看病するうちにだんだん接近していくが、親分に襲われたおしのは命を落としてしまい、子供とともに市が旅するところで終わる。

真野響子がきれいに撮れていて、これは横恋慕する男が出てきて当然と思わせる。

引戸を開けると ヤクザの本拠である賭場が白いハイキーなトーンで現れるのが、市の無明の世界の逆説的な表現になっている。
長八親分が吃音、という設定は、市と同じ世界に生きている表現なのだろう。

冒頭の亭主が市を襲う場面は下が泥まみれだが、クライマックス、親分を市を斬る時は一太刀では済まさず二太刀浴びせ、さらに頭を踏みつけて泥の中に押し込む。冒頭の泥と対応して、市の怒りを強く印象付けた表現。

親分が市と子供の留守中におしのを襲う場面は、わざとゆっくりとした帰ってくる二人とのカットバックで効果をあげる。道の途中にとまっていたカラスが飛び立つ(手がかかっただろう)。きちんと板を張っておらず骨組みだけの橋を下からあおったアングルが印象的。

しきりと賭場の灯りを囲む細く切った紙の格子越しに親分が捉えられるが、おそらくこれは骨格だけの橋の下からあおったアングルと共鳴して、聖(おしの)や悪といった見えないものを心の目で彼岸から覗き見る表現になっていると思える。

先日 火事で亡くなった川勝正幸氏が勝新太郎をデニス・ホッパーになぞらえたと聞いてなるほどと膝を打った。


撮影 森田富士郎
音楽 村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ

座頭市:勝新太郎
おしの:真野響子
清吉:清水康晴
寒天の清松:剣持伴紀
赤鯰の長八:草薙幸二郎
辰六:今井健二
留一:小池雄介
三太:沖田駿一
庄屋藤左衛門:田武謙三
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2012年02月05日 | 映画
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