prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「 ノット・クワイト・ハリウッド」Not Quite Hollywood

2010年02月16日 | 映画


1970年代オーストラリア映画のムチャクチャな製作現場の証言と実物の映画の断片を威勢のいいモンタージュで綴る。

さすが元流刑地というか、実弾の入った銃をぶっ放したり、ほとんど本物の交通事故現場を撮影したようなアクションシーン、というのは話としては愉快で、映画だけ見ていればすごいか知らないけれど、本当に死んでいる人間が出ていたりするのだからシャレにならない。そのあたり、解説役のタランティーノが無自覚なのがひっかかる。

やたらと粗製濫造された理由にはオーストラリア政府の税制措置のせいがあるというが、80年頃、カナダでも自国の映画産業育成のため投資を導く税制を導入したことがあって、最近リメークされた「プロムナイト」「血のバレンタイン」のほか、一連のクローネンバーグ作品や「テラー・トレイン」「チェンジリング」(イーストウッド作とは別、ジョージ・C・スコット主演の秀作)などのホラーのほか、「パワープレイ」「サイレント・パートナー」などずいぶん作られたが、ホラーでもお国柄なのかどこかクールな感触で全然感じが違うのが面白い。質も割と高い。
ロジャー・スポティスウッドやカーティス・ハンソンやピーター・メダックなどかなり有能な監督も輩出している。