prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「SHINOBI 忍」

2005年10月18日 | 映画
甲賀と伊賀が宿敵同志で、それぞれに属する男女が愛しあうようになるという「ロミオとジュリエット」調の設定なのだが、その宿敵同志という設定が字幕でちょろっと描かれる程度で、画やアクションとして見る側に打ち込んでいないので、ちっとも効かない。

両者を5対5のトーナメント形式(?)で戦わせて、それで徳川の世継ぎを決めると言うから、忍者と世継ぎと何の関係があるのかと思っていると、これがなんと何の関係もないのだね。で、御前試合のはずが戦うのに不服なオダギリジョーが徳川に直訴しに行ったもので代わりに山の中で戦うことになるのだが、この場合両者に戦う理由ってまるでないのだ。しかも、メンバー紹介で両陣営をカットバックで描いているものだから、誰がどっちに属するのか、わけがわからない。
だからまるで戦いの見取り図がとれず、アトラクション風にやたら趣向やビジュアルに凝った立ち回りが続くので、まるでゲームを見ているよう。
キャラクターの設定がわかった時にはもう死んでいる、という調子なので、ドラマ的な流れや盛り上がりなど、あったものではない。
金かかってるし、スタッフワークはいいのがもったいない。

忍者は山奥の里に住んでいるのだが、徳川にはまるで歯がたたず滅ぼされかけたところを、仲間由紀恵が死ぬ物狂いで許しを乞うたから生存を許されたという調子なので、まるで体制をおびやかす、あるいは体制から逸脱してしまう「妖しの民」という感じではない。ダム建設で追い出されるところをお目こぼしを願う村人みたいで、それじゃ山田風太郎じゃないよねえ。

仲間由紀恵は綺麗には違いないが、クライマックスで凄惨なところをみせずにキレイゴトで済ませているのは物足りない。
(☆☆★★★)



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