万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランは独裁への道を歩むのか―歴史は繰り返す

2009年06月20日 13時30分58秒 | 中近東
大統領再選は「国民の選択」=ムサビ氏支持デモの終結要求-イラン最高指導者(時事通信) - goo ニュース
 ホメイニ師亡き後、イランでは、バシジ(人民動員軍)と呼ばれる民兵組織が国民監視と弾圧を行うようになり、現体制を暴力で支えていると報じられています。この展開を見ますと、歴史上に数多く見られた独裁への道をイランもまた歩んでいるように思われるのです。

 古代アテネでは、ペイシストラトスの僭主(独裁)政治が成立するに際して、棍棒隊と呼ばれた親衛隊が活動したと伝えられています。現代に至っても、この手法は独裁体制樹立への常套手段であり、ヒトラーの親衛隊を挙げるまでもなく、独裁者たちは、民間に監視・弾圧組織を張り巡らすことで、国民を内部から抑圧し支配してきました。中東では、イラクのかつての独裁者フセインもまた、最後までスンニ派で固めた親衛隊に守られていたことで知られています。

 選挙の不正疑惑を発端としながらも、イラン国民の抗議運動は、今後、イランが進もうとしている方向に対する抗議の表明であると見ることもできます。最高指導者のハメネイ師の選挙結果の安易な容認は、イラン国民の危機感をさらに深めることになるかもしれないと思うのです。

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