万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

鳩山総務相更迭が招く政治不信

2009年06月13日 15時55分07秒 | 日本政治
鳩山さん、目に涙「総理判断間違い」…西川社長は終日沈黙(読売新聞) - goo ニュース
 鳩山前総務相が行った日本郵政の不祥事の責任追及は、政府が日本郵政の大株主であり、かつ、総務省が監督官庁であることを考えますと、当然のことであったと思われます。もし、前総務相が、最初からこの事件をうやむやにする態度をとっていたとしたならば、政治に対する国民の反感と不信は、現在とは比較にならないほど高まっていたことでしょう。

 何時の時代にも、民営化に伴う”払下げ”は、政治疑獄に発展するものです。平成の郵政民営化に際しても当然に起こり得ることであり、「かんぽの宿」もまた然りです。事前に予測できることなのですから、もし、最初から売却を予定していたのでしたら、郵政事業本体とは切り離し、事前に資産管理・売却機構を設立しておくべきでしたし、また、引き続き宿泊施設として運営するつもりであったならば、現在の子会社の他に、観光事業を行う子会社をもう一つ設けるべきであったかもしれません。もとをただしますと、郵政民営化における準備不足が今日の事態を招いてしまったのではないでしょうか。

 結局、疑惑の事件は起きてしまい、政界は責任の所在や事態の収拾をめぐって混乱することになりました。その一方で、国民から批判が寄せられつつも、鳩山氏が疑惑究明と責任追及に対する厳しい姿勢を示したからこそ、自民党も、政界も、国民の信頼をつなぎ止めていたとも言えます。それ故に、多くの国民もまた、今回の事件の顛末には納得していないでしょうし、もし、日本郵政の不祥事が不問に付されることにでもなれば、政治に対する信頼は、さらに損なわれるのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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