万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イスラエルはパレスチナ安全保障案を

2009年06月15日 16時51分59秒 | 中近東
イスラエル首相、パレスチナ国家受け入れ 非武装化条件(朝日新聞) - goo ニュース
 右派の強硬派であったスラエルのネタニヤフ首相が、パレスチナ国家との二国家共存の可能性を認めたことは、中東和平とって大きな前進と言えます。しかしながら、挙げられている条件を読みますと、パレスチナ側がそう簡単に受け入れる内容ではなさそうです。

 これらの条件の中で、特に問題となるのは、パレスチナ国家の非武装なのではないかと思うのです。何故ならば、もし、パレスチナ国家が非武装化されるとしますと、誰が、どのようにして、パレスチナの安全を保証するのか、という重大な問題が残されることになるからです。自国の安全が常時脅かされる可能性があるにも拘わらず、パレスチナ側が、自らの武装を解除するとは到底考えられません。

 もし、イスラエルが、パレスチナ側に非武装化を求めるならば、相手国の安全を確実に保障する案をセットとして提示しなければならないのではないでしょうか。例えば、周辺諸国と(1)周辺諸国と集団的自衛権の発動可能な同盟を結ぶことを認める、あるいは、(2)周辺諸国と連邦を形成することを容認する(この場合、防衛や安全保障は連邦の権限となりますので、独立性が低下しますが・・・)という方法があります。また、(3)イスラエルがパレスチナの領土を保障し、その保全者となるという方法もありますが、この場合、非武装化の後にイスラエルから侵略を受けるというパレスチナ側の疑念を払拭することは困難となります。ただし、国境線が確定した後であるならば、こうした事態が発生した場合に、国連の安保理で、必ずしも侵略決議が成立する可能性は高くはなります(100%とは言えませんが・・・)。そこで、(4)イスラエルとパレスチナの両国が、アメリカ、もしくは、常任理事国とパレスチナの領土保全を保障する協定を締結する、という方法も一案かもしれません。

 何れも試案に過ぎませんが、中東和平の行方は、パレスチナの安全保障にかかっているように思うのです。

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