万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イラン―国民と改革派を引き離す作戦か?

2009年06月25日 17時31分14秒 | 中近東
ハメネイ師、改めて譲歩拒否=警官隊はデモ開催阻止-イラン(時事通信) - goo ニュース
 報道によりますと、イランのマスハーリ内相が、ムサビ氏を支持する改革派が、外国から資金援助を受けていたとして批判したそうです。真偽のほどは別としても、この批判は、イランの現状から見ますと、差し引いて考えるべきではないかと思うのです。

 何故ならば、保守派にとって、改革派に対する外国からの支援をことさらに強調することは、国民と改革派を引き離し、国民を改革派非難に誘導する最も効果的な方法であるからです。これまで改革派を支持していた人々に対して、抗議活動が外国からの干渉であると主張すれば、イスラムの本流としての立場を維持できるとともに、改革派を売国奴に仕立て上げることができます。つまり、自らを安全な場所に置きながら、イラン国民の愛国心を、改革派非難に向けることができるのです。

 こうした手法は、体制側が反体制派を追い込む常套手段でもありますが、はたして、イラン国民は、この主張に納得するのでしょうか。たとえ内相の指摘が事実であったとしても、不正選挙や弾圧の事実が消えるわけではありません。事態の行方は、イラン国民の良識と倫理観にかかっていると思うのです。

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