万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国連加盟を利用した北朝鮮

2009年06月08日 16時56分58秒 | アジア
北朝鮮、制裁決議採択なら「非常手段」で報復=労働新聞(トムソンロイター) - goo ニュース
 1989年、東欧に始まったドミノ倒しの如き社会・共産主義体制の崩壊のニュースは、冷戦の終焉を知らせる朗報として国際社会にもたらされました。北朝鮮が国連に加盟したのは、やがてアジアにも体制崩壊が及ぶとする楽観的な見通しが支配的であった、1991年9月のことです。しかしながら、今になって振り返ってみますと、北朝鮮の加盟は、より慎重であるべきであったかもしれません。

 何故ならば、そもそも朝鮮戦争は、1953年7月以来、休戦状態にあるに過ぎず、形式としては北朝鮮は”国連軍”との間の戦争は終結していないからです。このことは、交戦相手であるはずの”国連”に北朝鮮が加わるという奇妙な”ねじれ”をもたらすことになりました。北朝鮮は、国連の敵でありながら、味方でもあるという、掴みどころのないやっかいな存在となってしまったのです。このことは、北朝鮮に、外交上の硬軟両面作戦を可能とする機会を与えることにもなりました。国際社会の一員であることを巧みに利用しながら、国際社会を揺さぶるという手法です。結局、北朝鮮の国連加盟は、東アジアの情勢をより複雑にし、北朝鮮が瀬戸際外交を行う土壌をつくってしまったと思われるのです。

 制裁決議の成立を目前にして、北朝鮮は、国連に対する恫喝を強めているようです。北朝鮮の両面作戦は、そろそろ限界にきているのではないでしょうか。

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