万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランは選挙の正当性を問う承認投票を実施しては?

2009年06月24日 15時36分00秒 | 国際政治
米大統領、イラン政府を強く非難「選挙の正当性に疑問」(朝日新聞) - goo ニュース
 イランでは、護憲評議会がムサビ氏の選挙の無効の訴えを否定したことで、事態はさらに混迷を深めそうです。国民の多くが疑惑を抱いているにも拘わらず、弾圧という強権をかざして結果を強引に国民に受け入れさせても、不満や不信感が募るのは目に見えています。

 ムサビ氏は、選挙の不正を示す報告書を作成して提出する、と述べたと伝えられており(日経新聞本日付朝刊)、この報告書が、不正選挙を証明するとなりますと、国民は、さらに現政権に対する反感を強めることになりましょう。このままでは、イランは、深刻な国内分裂の危機を迎えることになりますので、現政権は、最大限、国民の信頼を回復するための措置をとるべきと思うのです。イランの混乱について、アメリカのオバマ大統領は、「アフマディネジャド大統領の「勝利」を認めるかどうかについては、最終的な判断はイランの有権者に任せると」と述べているそうですが、大統領選挙の正当性を国民に問うための選挙を実施することも、一案なのではないか、と思うのです。

 アッラーの神も、自らの行為を真摯に反省し、正しい道に戻る者をお許しになるはずです。もし、自らの誤りを正すという痛みを避けるとすれば、イランは、イスラム教の名の下で不正が行われる国に堕してしまうと思うのです。  

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2 コメント

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CIAの分析機関の・・・ (冬水)
2009-06-25 04:08:56
見解を貼り付ける。
引用開始
>>以下がストラトフォーの分析の要約である。
・欧米は、iphonやツイッター(オンラインメッセージサービス)、そしてフェイスブック(SNSサービス)といったITツールを使いこなし流暢に英語を話すテヘランの専門家層を情報源にして情勢を分析しているようだがこれが間違いの原因である。
・イランでは国民の3分の1しかインターネットは普及しておらず、また電話のない地域に居住している人口もまだまだ多い、当然、こうした大多数の国民は英語を話さない。
・こうした大多数の国民は、シーア派の熱心な信者であり、基本的にイスラム教の世界観と価値観を中心に生活している人たちである。
・彼らにとって重要なことは、宗教的な倫理(善)の実現であり、経済成長や生活水準の向上などとい物質的な価値観の追求はあまり眼中にない。、なので、最近の経済の悪化はあまり問題にしていない。
・また、イスラム革命後に始まったイランーイラク戦争では100万を越える多くの犠牲者が出たが、この戦争はいまだに多くの国民に大きな傷痕を残している。大多数の国民は、イランが欧米と対等な偉大な国家となることで、戦争で犠牲となった肉親の死が初めて報われると感じている。
・アフマディネジャドは、このような大多数のイラン国民の国民感情に彼らが理解する宗教的な言葉で語りかけ、自分こそが偉大なイランのリーダーであると主張したのである。
・これは、ムサビ候補など他の候補者には到底できない芸当である。擁するに彼らは国民感情の把握に失敗したのである。
・逆にこの騒乱で明らかとなったのは、アフマディネジャドの権力基盤の盤石さと根強い国民的な人気である。これはアフマディネジャドは権力基盤を強固にしたのだ。オバマ政権は強大となったアフマディネジャド政権と交渉することになる。】<<引用終り
 こんな、カラー革命など策していると、アフガニスタン問題でのイランの協力が遠のき、欧米はパキスタンの核の脅威に曝される。パキスタンの核が過激派に渡るのは、時間の問題である。

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冬水さん (kuranishi masako)
2009-06-25 08:10:01
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 保守派の支持層が、もし、宗教的倫理=善の実現を政権に求めているとしますと、今回の不正選挙は、致命的な意味を持つかもしれません。何故ならば、イスラム教にあても、人を騙してはいけない、つまり、不正を働いてはいけないと説いているからです。最高指導者を選出する立場にある宗教的な権威者の中にも、今回の事件において、現政権に批判的な方々もおられるようです。現政権は、神の名において不正行為を行っていることになりますので、これほど矛盾に満ちたお話はないのです。むしろ、当局の不正が明らかになりますと、現政権の基盤とされている農村の支持も瓦解するかもしれません。
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