万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

移植法と再生医療技術

2009年06月19日 12時59分53秒 | 社会
首相「世の中固まってない」―移植法A案反対議員の声(朝日新聞) - goo ニュース
 最近、医療の最先端技術として再生医療が注目されるようになり、マスメディアなどでも、自己の幹細胞を増殖させることで失われた機能を回復させる治療方法が紹介されるようになりました。昨日、移植法A案が衆議院を通過したことから、脳死の問題が議論されているようですが、再生医療の観点からの検討も必要なように思うのです。

 これまでの医学の定説では、脳細胞は、一旦破壊されると回復は不可能とみなされてきたようですが、脳の発育期にある幼少の患者さんや、脳の損傷が脳内に非常事態を作り出している場合には、大人の患者さんであっても、脳の幹細胞が働いて、新たな脳細胞を生みだしたり、あるいは、損傷を受けた細胞が修復されるという現象が観察されているそうです。もし、今後、再生医療が発展をするとしますと、脳死状態と判定されても、再生医療を施すことで意識が回復する時代が到来するかもしれません。移植法を議論するに際しては、医学的に否定されない限り、長期的な視点に立って、再生医療の可能性も論点に含めていただきたいと思うのです。

 最善の策は、他者に犠牲を求めない治療方法の確立です。再生医療は、脳死の人々を救うとともに、臓器の機能回復に役立つことができれば、臓器の病に苦しむ人々をも救うことになります。将来を見通して、再生医療や万能細胞の研究にも予算を振り向けることも、想起移植問題の一つの解決策のように思うのです。 

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