万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランの不正選挙疑惑―追い詰められる保守派

2009年06月17日 15時53分47秒 | 中近東
イラン 革命後最大デモ 保守派独占に不満噴出 改革派の引き際いかに(産経新聞) - goo ニュース
 1979年にイランで発生したイスラム革命とは、西欧文明を腐敗の根源として拒絶し、コーランに基づく理想国家の実現を目指した革命運動でした。現在でも、イスラム法の最高権威者を国家の頂点に戴く体制を維持しているのですが、今回の不正選挙疑惑は、今後の展開次第によっては、この体制を揺るがしかねないのではないかと思うのです。

 イランの現体制が、”神の国”の実現を国民に約すことで自らの正当性を維持していることを考えますと、選挙の不正の黙認は、致命的な意味を持ちかねません。イスラム教にあっても、他者を騙すような不正な行為が許されるはずはなく、もし選挙に不正があったとしますと、自らが神の掟に背く行為を行っていることを、国民の前に晒すことになるからです。これでは、自己の存在否定になりますので、改革派のみならず、現体制に信頼を寄せてきた保守派の支持者をも失望させることになりましょう。

 最高指導者のハメネイ師もアハマディネジャド大統領も、国民からの抗議の声に誠実に応え、不正選挙疑惑を晴らしませんと、自らの立脚するイスラムの正義という土台をも掘り崩すことになるのではないでしょうか。

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