万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自国の政府に抗議しない在外中国人の不思議

2009年06月26日 11時48分40秒 | 国際政治
「08憲章」起草者逮捕 中国当局(産経新聞) - goo ニュース
 当局による不正選挙とその後の国民弾圧に抗議して、イラン国外で暮らすイラン人の方々も、街頭デモを組織したり、改革派のカラーを身に付けるなど、自国の政府の不当な行為に対して抗議の意思を表明しました。これらの抗議運動は、イランの人々が自国の将来を憂う故の行動であり、外から国内の改革派を支援する役割を担ったのです。

 イランの行方が心配される中で、「08憲章」を起草した劉暁波氏が、北京の公安当局に逮捕されたというニュースが飛び込んできました。氏もまた、共産党一党独裁体制の限界を認識し、民主化を求めた改革派の指導者であり、中国の将来を真剣に憂いた人物の一人でした。ところが、イランとは対照的に、在外中国人の間では、中国当局の言論弾圧に対する抗議の行動は見受けられないのです。北京オリンピックの聖火リレーに際して、長野では、中国人留学生が動員され、中国政府の意向に沿った示威行動を行ったことで顰蹙を買いましたが、在外の中国人の人々には、自国の改革を外から支えようという姿勢が弱いのです。

 弾圧国家から自由主義の国に来た人々は、そこで自由や民主主義について学び、体験することで、自国の体制に疑問を持つに至るものです。もし、在外中国人の方々が、改革に無関心か、あるいは、無関心にさせられているとしますならば、そこには、何らかの理由があるはずです。もし、中国当局の自国民の監視網が、外国にまで及んでいるとしますと、これほど恐ろしい国もないのかもしれません。

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2 コメント

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自分の国のほうが・・・ (冬水)
2009-06-26 18:09:54
 優れていると思っているだけのこと。イランのほうは、アメリカ、イギリス、イスラエルの工作機関が満を辞して、策動したが、オバマが「選挙結果を認めない」という代わりに、「内政干渉をする気はない」と言い換えた。だから、終了。これから、イスラエルとオバマが緊張するだろうね。
 中国のほうは、GDPが今年中に日本を追い越すだろうし、ドルの低下によって、5年ぐらいでアメリカも追い越すと思っているから、日本やアメリカのほうが、駄目な政治体制だと思っているだけ。
 夜郎自大は、保守派だろうと改革派だろうと、チャイニーズの特徴だから、付ける薬はないよ。
 ついでに言えば、平壌の高麗ホテルには、アメリカ人が常駐。事実上、外交機関があるのよ。そして、中国、アメリカの了解を得て、ミサイル発射、核実験。
三代目の襲名披露にやっているだけ。
 自民党は知っていて、国民に嘘をついて、ネットウヨは騙されたバカにすぎない。
 高麗ホテルの件は、自分で調査してごらん。
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冬水さん (kuranishi masako)
2009-06-26 20:08:33
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 国交を結んでいなくとも、情報を収集するために情報員、あるいは、アメリカ政府職員を派遣していることはあり得ることと思います。ただしかし、ミサイル実験に密かに承認を与えているという冬水さんの見解は、にわかには信じがたく、そのような主張には、立証が必要なのではないでしょうか。立証がなされない限り、真剣に自国の安全を心配している人々を”ばか”呼ばわりするのは、言い過ぎであると思うのです。
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