予定されていた25%の関税を15%まで引き下げたとされる日米合意は、少なくとも日本国政府とマスメディアはプラス方向に評価しているようです。しかしながら、この合意、前代未聞と言えるほど、日米間で解釈が異なっています。当事国の双方が‘勝利’を宣言している奇妙な戦争のような様相を呈しているのですが、これでは、‘日米合意’ではなく、‘日米不合意’という表現の方が適切に思えます。合意内容の双方の解釈に、天と地ほども隔たりがあるのですから。
この一件は、如何にマスメディアが‘いい加減’であるのか、ということも示しています。そもそも、先日、マスメディアは、交渉妥結の一報に際して、両国政府の代表が何らかの文書に‘署名’をしたと報道していたはずです。ところが、日本国政府は、突然に合意文書は作成していないと言い始め、日本国内では、後者が‘正しい’とされています。それでは、一体、マスメディアは、どこから‘署名’の情報を得ていたのでしょうか。日本国政府か、あるいはマスメディアのいずれかが、虚偽の情報を国民に提供したことになります。
こうした政府とマスメディアと間の情報の齟齬も国民の不信を招くに十分なのですが、アメリカ発の情報と日本国内での情報の違いも、情報化社会と称される時代にありながら、人々が当惑するほどの凄まじさです。双方の言語の違いを言い訳には出来ないほどに、解釈が全く違っているのです。この食い違いは、凡そ80兆円とされる対米投資の約束において顕著に表れています。
アメリカ側の説明によれば、同80兆円は、日本国の政府系金融機関を介してアメリカに投資される資金の総額であり、同投資によって生じる利益も、その9割がアメリカの取り分とされます(日本の資金でアメリカが運用し、利益の大半はアメリカへ・・・)。しかも、投資先も分配された利益も、アメリカ大統領の裁量権に服するのであり、同プロジェクトの主導権はアメリカ側に完全に握られるのです。しかも、ベセント米財務長官は、「四半期ごとに合意が順守されているか精査する」と述べており、厳格なる監視付きでもあります(この点、石破首相も、実施に関する自らの関与を表明している・・・)。
その一方で、日本国側の赤沢亮正経済再生担当相は、同80兆円の額を‘上限’の数字と解した上で、日本側からの‘出資’はこの内の1から2%に過ぎず、9対1の割合での利益の分配は同‘出資’に限るとする旨の説明を行なっています。日本側のマイナス面についても、日本側からの提案としての当初の利益配分率は五分五分であったので、「(9対1に)譲ったことで失ったのはせいぜい数百億円の下の方だ」とも釈明しています。加えて、対米投資のルートも、政府系金融機関が日本国の民間企業に対して融資を行なうとしており、対米投資の主導権は、日本国の民間企業にあるとしているのです。
合意文書も存在しない状況にあって、仮に、報じられているように、アメリカ側が自らの解釈に基づいて8月15日から15%の関税率を適用した場合、日本国は、一体、どのような事態に直面するのでしょうか。アメリカ側は、当然に、日本国に対して約束通りに80兆円規模の対米投資を要求することでしょう。なお、昨日7月27日にあって15%で妥結したEUとの合意では、対米投資は6000億ドル越え(凡そ88兆円)であり、日本国一国とほぼ同レベルです。EUとの合意でも文書が作成されたのか、並びに、対米投資のスキームに関する詳細は分からないのですが(利益分配率も・・・)、今後のEU側の反応が注目されるところです。
そして、アメリカが、対米投資の実施を迫った場合、日本国は、重大な選択を迫られることとなりましょう。つまり、アメリカ側の解釈通りに、トランプ大統領の就任期間の間に、アメリカ側の解釈に従って凡そ80兆円を差し出すのか、あるいは、関税率25%を受け入れるのか、のいずれかです。日本側の解釈が通るとすれば、それは、可能性は極めて低いながらも、対米投資が、トランプ大統領のアメリカ国民向けのパフォーマンスに過ぎなかった場合に限られましょう。そして、この展開には、金融勢力であるグローバリストが一枚絡んでいる気配も感じられるのです(つづく)。
この一件は、如何にマスメディアが‘いい加減’であるのか、ということも示しています。そもそも、先日、マスメディアは、交渉妥結の一報に際して、両国政府の代表が何らかの文書に‘署名’をしたと報道していたはずです。ところが、日本国政府は、突然に合意文書は作成していないと言い始め、日本国内では、後者が‘正しい’とされています。それでは、一体、マスメディアは、どこから‘署名’の情報を得ていたのでしょうか。日本国政府か、あるいはマスメディアのいずれかが、虚偽の情報を国民に提供したことになります。
こうした政府とマスメディアと間の情報の齟齬も国民の不信を招くに十分なのですが、アメリカ発の情報と日本国内での情報の違いも、情報化社会と称される時代にありながら、人々が当惑するほどの凄まじさです。双方の言語の違いを言い訳には出来ないほどに、解釈が全く違っているのです。この食い違いは、凡そ80兆円とされる対米投資の約束において顕著に表れています。
アメリカ側の説明によれば、同80兆円は、日本国の政府系金融機関を介してアメリカに投資される資金の総額であり、同投資によって生じる利益も、その9割がアメリカの取り分とされます(日本の資金でアメリカが運用し、利益の大半はアメリカへ・・・)。しかも、投資先も分配された利益も、アメリカ大統領の裁量権に服するのであり、同プロジェクトの主導権はアメリカ側に完全に握られるのです。しかも、ベセント米財務長官は、「四半期ごとに合意が順守されているか精査する」と述べており、厳格なる監視付きでもあります(この点、石破首相も、実施に関する自らの関与を表明している・・・)。
その一方で、日本国側の赤沢亮正経済再生担当相は、同80兆円の額を‘上限’の数字と解した上で、日本側からの‘出資’はこの内の1から2%に過ぎず、9対1の割合での利益の分配は同‘出資’に限るとする旨の説明を行なっています。日本側のマイナス面についても、日本側からの提案としての当初の利益配分率は五分五分であったので、「(9対1に)譲ったことで失ったのはせいぜい数百億円の下の方だ」とも釈明しています。加えて、対米投資のルートも、政府系金融機関が日本国の民間企業に対して融資を行なうとしており、対米投資の主導権は、日本国の民間企業にあるとしているのです。
合意文書も存在しない状況にあって、仮に、報じられているように、アメリカ側が自らの解釈に基づいて8月15日から15%の関税率を適用した場合、日本国は、一体、どのような事態に直面するのでしょうか。アメリカ側は、当然に、日本国に対して約束通りに80兆円規模の対米投資を要求することでしょう。なお、昨日7月27日にあって15%で妥結したEUとの合意では、対米投資は6000億ドル越え(凡そ88兆円)であり、日本国一国とほぼ同レベルです。EUとの合意でも文書が作成されたのか、並びに、対米投資のスキームに関する詳細は分からないのですが(利益分配率も・・・)、今後のEU側の反応が注目されるところです。
そして、アメリカが、対米投資の実施を迫った場合、日本国は、重大な選択を迫られることとなりましょう。つまり、アメリカ側の解釈通りに、トランプ大統領の就任期間の間に、アメリカ側の解釈に従って凡そ80兆円を差し出すのか、あるいは、関税率25%を受け入れるのか、のいずれかです。日本側の解釈が通るとすれば、それは、可能性は極めて低いながらも、対米投資が、トランプ大統領のアメリカ国民向けのパフォーマンスに過ぎなかった場合に限られましょう。そして、この展開には、金融勢力であるグローバリストが一枚絡んでいる気配も感じられるのです(つづく)。