万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

それでも晴れない不正選挙疑惑

2009年06月30日 15時26分03秒 | 中近東
イラン護憲評議会、大統領再選を承認「大きな不正なし」(朝日新聞) - goo ニュース
 イランの護憲評議会は、先の大統領選挙について一部再集計を行い、大きな不正はなかったとする最終判断を下したようです。しかしながら、この最終計によって、不正選挙疑惑は完全に払拭されるのでしょうか。

 この再集計の方法には、幾つかの疑問点があります。

(1)護憲評議会の信頼性
 不正の有無を調べる役割は、第三者が最も適しています。しかしながら、報道されている情報から判断しますと、再集計は、護憲評議会の手で行われたようであり、中立性に問題があります。選挙の公正性を保つことを任務とする護憲評議会そのものが怪しまれている場合、たとえ再集計が行われたとしても、その結果の信頼性には疑問符が付くのです。

(2)無作為抽出
 再集計は、票の10%の無作為抽出という方法が採られました。本当に”無作為”であったのかは外部からは分かりませんし、抽出の対象選挙区を作為的に選びますと、結果は大きく違ってきます。

(3)選挙前の不正
 再集計という方法では、投票時における不正しか調べることができません。今回の選挙では、投票用紙が不足したり、バシジから不当な圧力を加えられるなど、投票所の外での不正が報告されていました。

 以上に指摘した問題点を考え合わせましても、この再集計は、”はじめに結果ありき”のパフォーマンスであり、イラン国民の多くが素直に納得するとも思えません。むしろ、現政権側の強硬姿勢が浮き彫りとなったことで、国民の疑惑はさらに深まるのではないでしょうか。

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コメント (3)
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