万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

天安門事件―祖国に命を捧げた青年たち

2009年06月03日 15時20分16秒 | アジア
中国でホットメールなど遮断、天安門事件20周年を前に(トムソンロイター) - goo ニュース
 去年開催された北京オリンピックの映像は、愛国主義教育に熱心に取り組む中国政府の姿勢を、世界中に余すところなく伝えることになりました。しかしながら、本物の愛国者とは、20年前に天安門広場で若き命を散らした青年たちではなかったのかと思うのです。
 
 愛国主義とは、とかくに戦時における敵国に矛先が向けられるものであり、日本国への抗議としてしばしば見られた”愛国無罪”の抗議運動も、この一種とみることができます。しかしながら、愛国心とは、外部にのみ向かうものではありません。真剣に自国を将来を考え、体制の改革を望む人々は、圧政を敷く国内の弾圧者と対峙しなくてはならないのです。戦時にあっての愛国者は、政府とタッグを組んで祖国に尽くしますが、平時にあって改革を訴える愛国者は、政府から睨まれ、自らの命さえも危険にさらすという重いリスクを背負います。20年前に天安門に集まって民主化を訴えた青年たちは、今日の官製の愛国主義者よりもはるかに過酷な運命を自ら引き受けていたのです。
 
 中国に、祖国のために命を捧げた天安門事件の犠牲者の方々の名誉が回復される日が、一日も早く訪れることを願ってやみません。犠牲者の方々の御霊が安らかなることを祈って。
 
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コメント (2)
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