万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

天安門事件―中国は自己改革できるのか?

2009年06月02日 15時22分19秒 | アジア
天安門事件 秘密文書明らかに 「米、当初から全容把握」(産経新聞) - goo ニュース
 天安門事件の詳細が明らかとなり、民主化を支持する若き学生の多くが、人民解放軍が放った銃弾に次々と倒れていった惨さに言葉を失うばかりです。そうしてまた、命を賭して装甲車隊の前に立ちはだかった当時の中国の学生の勇気に慄然とさせられるのです。

 天安門事件から20年が過ぎ、政府当局の弾圧や情報統制もあってか、中国国内は、一先ずは平静を保っているようです。現代の中国の学生も、事件当時のような民主化への情熱は影を潜めており、目立った反政府運動も見られません。あるいは、急激な経済成長は、中国の青少年を個人主義の世界にいざない、政治や社会に対する関心を失わせてしまったのかもしれません。しかしながら、民主化はほど遠く、国民に対して政治への経路が断たれたままであり、共産党の一党独裁による官僚汚職の蔓延も目を覆うばかりです。

 改革開放路線の結果、中国という国が、腐敗した共産党が政治のみならず経済的な利権を独占する一方で、国民もまた、そのそれぞれが利己的な拝金主義に走るとなれば、決して誉められた国にはなりそうにありません。中国の人々が、良き国を求める気持ちを失ったとき、天安門事件は過去に葬り去られ、悪徳を隠す闇が中国を覆うことになるのではないでしょうか。

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コメント (8)
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