万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

人民元は世界最強の通貨になる?

2009年06月07日 13時28分02秒 | 国際経済
「人民元が新たな準備通貨に」ロシア副首相が見通し(読売新聞) - goo ニュース
 ロシアの副首相が、人民元が新たな準備通貨になるよう、中国政府に改革を促しているようです。準備通貨に向けての改革の内容とは、おそらく、人民元の取引を自由化し、かつ、金兌換あるいは銀兌換を保障せよ、ということらしいのですが、この提案は、中国にとっては二者択一の選択となりそうです。

 何故ならば、もし、中国政府が、ロシアの提案を受け入れて通貨制度の改革を行うとしますと、人民元は、世界最強の通貨に躍り出るからです。70年代に米ドルが金兌換を停止して以来、管見の限りでは、金との兌換性を保証している通貨はありません。ユーロもまたしかりです。そこに、金との兌換を保障された人民元が出現するとしますと、その信頼性は群を抜きますので、あっという間に他の通貨の追随を許さない最強の通貨が誕生してしまうのです。しかも、人民元の取引を自由化するとなりますと、人民元のレートは大幅に跳ね上がることは必至です。

 このシナリオは、中国にとって望ましいようにも見えますが、そうとばかりも言えないように思うのです。何故ならば、中国は、これまで人民元の為替相場を管理する、つまり、自国通貨安政策をとることで、輸出を拡大させることで経済を成長させてきたからです。もし、人民元が最強通貨になるとしますと、輸出競争力は大幅に下落することになります。はたして、中国がロシアの提案を受け入れるのか、この選択は、微妙なところなのではないでしょうか。

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コメント (2)
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