万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イラン大統領選挙―アフマディーメジャード氏は本当に勝ったのか

2009年06月14日 16時03分50秒 | 中近東
イラン大統領再選 改革派反発、街頭デモで警察と衝突(朝日新聞) - goo ニュース
 イランの大統領選挙は終盤に入り激戦となり、前回選挙を20ポイント上回る84%の投票率は、この選挙に対する国民の関心の高さを表しています。接戦が予測されたものの、蓋を開けたところが、63%対34%で現職のアフマディーメジャード氏の当選が決まり、改革派のムサビ氏の支援者から不正選挙ではないか、とする疑惑の声が上がっていると伝えられています。

 早々に、アフマディーメジャード氏は勝利を宣言し、最高指導者のハメネイ師も選挙結果を受け入れるように国民に呼びかけたそうですが、アフマディーメジャード氏は、本当に選挙に勝ったのでしょうか。もちろん、指摘されているように、投票結果に不正な操作が加えられており、実際には、敗北していた可能性もあります。その一方で、国民の多くから不正を疑う声がありながら、その声を権力で封じようとしたところに、政治的な敗北を見ることもできます。表面上は勝ったように見えながら、大統領に対して国民が深い懐疑心を抱いていることは、今後のアフマディーメジャード氏の政策運営を困難にする要因ともなるかもしれません。民主主義の制度を導入した国にあって、政権の正当性に疑いがあることは、内部に何時爆発するとも限らない不満勢力を抱え込むことを意味するからです。

 アフマディーメジャード氏は、疑いを晴らすべく、投票結果の再集計を実施するなど、国民に対して自らの当選が正当であることを誠実に証明すべきと思うのです(不正がなければ容易なはず・・・)。もし、これができないとしますと、次期政権は、前途多難な船出となるのではないでしょうか。

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コメント (4)
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