万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の暴走を待つべきだった

2008年10月15日 17時13分43秒 | 国際政治
核実験を懸念しテロ指定解除 米紙が報道(共同通信) - goo ニュース
 大統領の任期を終える直前に北朝鮮が核実験を強行。ブッシュ大統領にとって、これほど面目を潰される行為はないかもしれません。民主党からは、対北交渉の失敗として批難の矢面に立たされそうですし、最悪の場合には、大統領選の行方に大きく影響するかもしれないのですから。

 しかしながら、冷静になって考えてみますと、外交交渉の成果も、核拡散の阻止あってのことです。核開発を放棄する意思のない北朝鮮に対して、核実験の停止を条件にテロ支援国家の指定解除したところで、行く手には、再度の脅しと揺さぶりが待っているだけです。テロ支援国家解除は、何も解決はしませんし、問題の先送りをしたに過ぎないのです。しかも、テロ支援国家解除を機に、北朝鮮が経済支援を取り付け、核開発の資金と技術を手にするとしますと、事態は、さらに悪化します。

 思いますに、2006年の核実験では、国連安保理で経済制裁が決定されたのですから、北朝鮮が二度目の核実験を強行するとしますと、NPT体制に鑑みて、これを、国際社会が許すはずはありません。核実験によって国際社会のつまはじき者になるのは、北朝鮮の方なのです。北朝鮮を暴走させた方が、よほど、北朝鮮の体制崩壊にはチャンスとなったかもしれません。

 ブッシュ大統領が、アメリカ国民に対して、北朝鮮の脅しと瀬戸際作戦を誠意をもって説明すれば、国民とて、事の経緯を理解したのではないか、と思うのです。”最善を尽くした。でも、相手は我々を裏切った”と。

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コメント (12)
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