万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

金融危機に素知らぬ顔のOPEC

2008年10月20日 16時28分30秒 | 国際経済
OPEC、大幅減産の公算大 原油価格急反発の可能性(朝日新聞) - goo ニュース
 金融危機が実体経済にも影響を与える中、原油価格を吊り上げる行為は、経済にとってプラスか、マイナスか、という問いに対して、大方のところは、マイナスという答えが返ってくるはずです。マイナスであることを知りつつ、OPECが石油の大幅減産に合意するとなりますと、あまりに、身勝手と言うことなりましょう。

 近年の急激な原油価格の値上がりによって、巨万の富が流れ込んでいたのですから、OPEC諸国の立場に立てば、昨今の原油価格の反落は大きな損失となり、昔の夢をもう一度手にいれるために、原油価格の値上がりを願う心境は理解に難くありません。しかしながら、もしここで、原油価格が上昇に転じれば、金融危機による打撃に加えて、原料価格の高騰が実体経済に重く圧し掛かかり、景気回復の足を引っ張ることになります。しかも、OPECの減産の報を受けて、再び商品市場において投機資金の流入によるバブルが発生し、やがて、この第二次原油バブルも崩壊すれば、金融システムは、”弱り目に祟り目”になるかもしれません。

 元アーカンソー州知事のハッカビー氏が、経済テロの可能性について言及したことが話題となっています。経済テロの存在は未確認ですが、OPECの自己中心的な行為は、明らかに経済に破壊的な影響を与えます。OPEC諸国は、国際経済システムの一員であるという自覚を持ち、経済危機の克服に対して、より協力的であるべきと思うのです。

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コメント (4)
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