万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

総合市場化は考えもの

2008年10月14日 16時24分01秒 | 日本経済
日本も対策発表 空売り規制、機能強化法復活など(朝日新聞) - goo ニュース
 つい半年ほど前のこと、日本国でも、欧米諸国の市場を見習って、総合市場を構築しようという提案が、実現の方向で検討されていました。総合市場とは、証券市場、債券市場、外国為替市場、商品市場の間を、投資家が、自由に資金を動かすことができる市場のことであり、(将来的には排出権取引市場?)、国際競力の向上が、その主たる目的とされていました。

 ところで、リーマンの破綻から発生した今回の金融危機は、サブプライム・ローンが主犯格とされていますが、商品市場における原油や穀物価格などの下落も、その背景にあるのではないか、と思うのです。サブプライム・ローンの損失の穴埋めのために、商品市場に大量の投機資金が流れ込み、投機資金で膨れ上がった商品市場がバブルを起こし、このバブルの崩壊が、最終的に金融危機を招いたとも言えるのです。このことは、金融市場間のファイアー・ウォールの消滅が、連鎖的リスクと被害の拡大の要因となったことを示しているのかもしれません。昨今の急激な円高も、行き場を失った資金が外国為替市場に集まり、逃避的に円買いが行われたから、との指摘もあります。

 金融危機は、発生してしまいますと、その収集には痛みと負担が伴うものです。二度と金融危機を起こさないためには、市場の仕組みに安全装置を組み込まねばならず、総合市場化は、急ぐべきではないと思うのです。

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コメント (4)
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