万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

主要国に低金利時代がやって来る

2008年10月09日 16時50分37秒 | 国際経済
安全な逃避先、伸びる円 「利下げ見送り」で拍車も(産経新聞) - goo ニュース
 本日の日経新聞一面には、FRBやECBをはじめ、世界十カ国の中央銀行が協調利下げに踏み切ると言う記事が踊っていました。もしかしますと、バブル崩壊後の日本国と同様に、主要各国に、低金利の時代が到来するかもしれません。

 第一の理由は、不況において低金利政策をとることは、中央銀行の常套手段であるからです。今回の金融危機は、全治三年とも言われているようですが、不況が長期化するとしますと、当然に、低金利政策が長く続くことになります。
 第二の理由は、もし、金融機関の救済と景気対策のために、各国政府が、財政拡大政策をとり、その財源のために国債の発行数を増やすとしますと、財政赤字が金融政策の手足を縛ることになるからです。日本国の低金利政策も、その背景には、金利の上昇が、歳出に占める国債費の増大を招くという事情がありました(政策予算を圧迫・・・)。中央銀行の独立性が保障されていながらも、財政赤字が大きい場合には、中央銀行は、政策金利を上げ難くなるのです。

 EU加盟諸国の場合は、ユーロの導入に際して財政規律が設けられていたため、この規律を緩めたとしても、現状では、日本国ほどの財政赤字を抱えるとは考えられません。それでも、ECBは、景気対策として低金利政策をとり続けることは、十分に予測されます。かくして、主要国は、そろって低金利の時代を迎えそうなのです。

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コメント (4)
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